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平成 4年第 3回定例会-09月09日-04号
平成 4年第 3回定例会−09月09日-04号

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  1. 熊本市議会 1992-09-09
    平成 4年第 3回定例会-09月09日-04号


    取得元: 熊本市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-22
    平成 4年第 3回定例会-09月09日-04号平成 4年第 3回定例会   平成四年九月九日(水曜)   議 事 日 程 第四号   平成四年九月九日(水曜)午前十時開議   第 一 質 問                午前十時三分 開議 ○議長(嶋田幾雄君) ただいまより本日の会議を開きます。     ────────────────── ○議長(嶋田幾雄君) 日程第一「質問」を行います。順次発言を許します。西泰史君。           〔三十二番 西 泰史君 登壇 拍手〕 ◆三十二番(西泰史君) おはようございます。公明党の西泰史でございます。  質問通告の一部を変更し質問してまいります。市長並びに当局の明快な答弁をよろしくお願いいたします。時間が足りないかと思いますので少し早口で参ります。御協力をよろしくお願いいたします。  私は、我が党が一貫して掲げてまいりました生活者のための政治、市民生活を最優先する立場からさまざまな問題についてお尋ねをしてまいります。  まず、生活優先の景気対策についてであります。  我が国の経済は、消費、投資、生産などの経済指標が軒並み低迷しており、本年一月から三月期の国民総生産の実質成長率は、二月の特殊要因を除けば、年率換算で二・七%と推計されており、その後の経済の落ち込みを勘案すれば、国際的な公約ともなった三・五%成長の達成は極めて厳しい状況にあります。今回の不況は景気後退に金融不安が加わった戦後初めて経験する複合型不況であり、日本経済がここまで不況色を強めてきたのは、こうした認識を欠き、従来型の対応だけで一年半も事態を放置し続けてきた政府の責任は極めて大きいと言わざるを得ません。  経済活動の象徴とも言うべき東証株価が下げどまらないことに初めて危機感を抱いた政府は、やっと重い腰を上げて、先月二十八日、総額十兆七千億円に上る総合経済対策を取りまとめたのであります。ここで大事な視点は、自滅した企業本位のバブル経済を清算し、生活者重視の視点を、経済政策ビジョンに幅広く反映させ、日本経済を健全な姿に軌道修正していくことであろうかと思います。総理府が六日に発表した国民生活に関する世論調査によれば、昨年に比べて生活が向上したかという問いに対し、「低下している」と答えた人は、昨年の一二・〇%から一五・一%へと三・一ポイントも上昇しており、逆に「向上している」とした人は七・六%と、前回の一〇・八%を大きく下回っていることもその必要性を裏づけております。  ところが、政府の経済対策には、GNPの約六割を占め、低迷が著しい個人消費を喚起する所得税減税が盛り込まれていないことは理解しがたいものがあります。特に所得税減税は昭和六十三年以来見送られてきており、我が党の試算によれば、平成元年からの消費者物価の上昇率は一一・六%、これによる実質増税は約八千億円に上っております。我が党は、一兆円規模の減税、内容は給与所得控除、基礎控除それぞれ十万円の引き上げ、あわせてパート収入も百二十万円まで非課税とする。所得税減税、そしてさらに教育減税、また住宅、下水道、生活道路、福祉施設など、生活関連公共投資の追加や中小企業対策の強化を強く主張しております。この総合経済対策については、経済界からも個人消費の喚起策を求める声が上がっております。また冷静に中身を見れば、例えば公共投資八兆六千億円のうち、国の一般会計から今年度中に出されるのは一兆六千億円程度にすぎず、地方自治体の単独事業一兆八千億円の計算には、毎年の積み増し分も含んでのことであり、実質的な効果を疑問視する向きさえあります。さらに、国の予算といえども、直轄事業や県事業等を除き、地方自治体地方交付税や国庫補助という形で地方自治体を通じて経済の現場に落とされていくものであります。その意味から、地方自治体の取り組みも重要なポイントであり、いずれにしても今は国と地方とが挙げて景気対策に取り組むことが望まれている時期であろうかと思います。  以上のことを踏まえお尋ねをいたします。
     今回の補正予算は百二十一億五千余万円と過去最高額であり、普通建設事業八十九億三千五百万円のうち単独事業は五十四億三千四百万円と、一定の景気対策への配慮が認められます。さらにこれを実効あるものにするために、生活関連の公共事業の推進、とりわけ最も経済への波及効果が大きいと言われております公営住宅五百戸建設という目標を断固達成していただきたいと思うのであります。また、仕事量の減少が著しい中小、特に零細企業に対する融資対策や信用保証制度、下請代金の支払い遅延防止などの援護策も必要かと思われます。これらの施策とともに忘れてはならないものが直接市民生活を支える福祉政策への気配りであります。さらに、地場経済を支える意味で、次の議会でも景気対策への一層の配慮が必要かと思われます。  そこでまず、景気対策を含め地場経済の浮揚に取り組む田尻市長の基本的な考え方を承りたいと思います。  また、財政当局にお尋ねをいたします。国は、本年度の公共事業前倒し発注率七五%を目標として設定し推進しております。本市の現在までの前倒し発注率はどの程度でしょうか。また、その支払い済みの金額はどの程度でしょうか。前年度との比較も含めてお答えをいただきたいと思います。  さらに、現在までの法人及び個人市民税の状況はいかがでしょうか。前年に比較しかなり落ち込んでいるのではと推測をいたしますが、いかがでございましょうか。また、それに基づく税収の見込みはいかがでしょうか。総務局長の答弁を求めます。           〔市長 田尻靖幹君 登壇〕 ◎市長(田尻靖幹君) 西議員にお答えをいたしたいと思います。  ただいま我が国の経済、特にまた地方経済の危機につきましてるるお話を承ったわけでございますが、御案内のとおりに我が国の経済は、いわゆるバブル経済が崩壊いたしまして、すさまじい外圧も受けておるわけでございます。かつて日本経済をリードしてまいりました自動車、家電あるいはハイテクの分野でも今大変収益が悪化いたしてまいりまして、経済の低迷が非常に顕著になってきたところでございます。この点につきましては先日も申し上げましたように、政府は大幅な公共投資の追加あるいは金融安定対策等を柱にいたしまして、総額十兆七千億円の総合経済対策を決定いたしましてこの不況を乗り越え景気浮揚に取り組んでいきたいと、このような姿勢を示しているところでありまして、私ども地方自治体、これを受けまして、議会とともに新しい本市の町づくりを今後積極的に進めなければならないと、その必要性を痛感いたしているところでございます。  本市の場合は御案内のとおりに、大都市圏ほどのバブル経済の崩壊の影響はただいまのところ強くないと私は思っております。それは、昨日でございますか、オフィスビルの入居率も新聞で拝見いたしますと、福岡は非常に減ってきていると、熊本は若干ながら伸びていると。これは熊本市の経済の腰の強さが幾らか表現できているのじゃないかと、このように考えるわけでございます。ただ、さきの台風十九号の災害等が本市経済に及ぼした影響も大変大きいものでございまして、例えば歳入の面につきましても法人市民税の動向、これは経済の低迷がこれから先大きく影響してくるのではないかなという一つの懸念を感じているわけでありますが、幸いにいたしまして先般御報告申し上げましたように、平成四年度の地方交付税法の改正によりまして、本市はかなり安定した財源を拡充することができました。これをてこといたしまして、今後果敢なる、そして積極的な財政政策に取り組みまして、特に中小企業の防衛、あるいはまた多くの市民の皆さんの期待にこたえるために社会資本の整備に全力を挙げていかなければならないと、このように考えまして、ただいま西議員御指摘のとおりの過去最大の積極的な補正予算の編成に努めたところでございます。特にその中におきましても、中小企業あるいはまた地場産業に非常にすそ野の広い広がりを持つと言われます、いわゆる波及効果の高い市営住宅の建設、五百戸建設でありますが、これをぜひとも達成したいと、このように考えておりまして、建設局を中心にいたしまして、この問題につきましては積極的な取り組みをいたしてまいりたいと、このように考えているわけであります。  なお、当初予算の適切な運用とともに、中小企業局、産業局、きめ細かな地域産業の経営動向と、あるいはまた金融政策を含めました経営指導と、このような問題を含めまして産業経済の活性化に万全を期してまいりたいと、このように考えております。  このほか、流通拠点都市の核としての流通センター国際コンベンション協会、あるいはまた先ほど、大変皆様方の御協力によりまして中心的な商店街の整備がだんだん進んでまいりまして、非常に多くのお客さんが訪れておられると、このようなことを考えますと、さらに地域商店街に対しまして整備を進めていかなければならないと考えるわけでございます。そのほか食品工業団地の建設、あるいはさらなる都市農業の振興と、こういう全般的な経済施策に配慮をいたしまして、公共事業の推進とともに、私どもは今後、いわゆる生活を重視していく時代、経済を優先した時代から生活を重視する時代に切りかえていかなければならないと、このように考えているところでございます。西議員のますますの御理解を賜りたいと思います。           〔総務局長 野田晃之君 登壇〕 ◎総務局長(野田晃之君) 景気問題に関連いたします財政面のお尋ねにお答えを申し上げたいと存じます。  お尋ねの第一点でございます公共事業前倒し発注の問題でございますが、これにつきましてはただいま御紹介のとおり、国におきましては上半期における公共事業の施行促進という視点から、公共事業等の契約率を七五%ということで目標を設定いたしておりまして、地方公共団体に対しましても同様の協力要請が行われているところでございます。  このような状況下、本市におきましても、公共事業の前倒しにつきましては関係各課に対しまして要請を行っておりまして、その結果、上半期でございますので九月末でございますが、現時点ではこれより一月早い八月末時点のデータでございますけれども、その契約率は四五・三%、予算額に対します支払い率が一七・七%となったところでございます。この契約率を昨年度と比較いたしますと、昨年は四半期ごとにとっておりますので同一時点になりませんけれども、昨年の九月末のデータとの比較では、昨年九月末が契約率三九・一%、支払い率一六・四%でございますので、一月の誤差はございますが、本年が契約率で六%、支払い率におきましても昨年を上回る結果となっているところでございます。ただいま申し上げましたように、なお一月余が残されておりますので、本議会に提案いたしております工事請負契約案件等を含めますとさらにこの数値は上昇いたすものと考えておりますが、ただ地方の場合、国の補助内示の問題、あるいは農業用水との絡みによります工期の設定等の事情もございまして、若干七五%という目標とは乖離する面もあろうと思っております。したがいまして、今後補正予算の執行の問題も含めまして、関係各局とも十分連携を図りながら早期の事業推進に一層の努力を重ねてまいりたいと考えているところでございます。  第二点目といたしまして、市税の動向でございますが、まず現況から申し上げますと、本年七月末におきます市税の現年調定額でございますが、六百八十億円余りとなっておりまして、これを昨年同期と比較いたしますと、昨年同期の調定額が六百四十億円余りでございますので、額にいたしまして約四十億円の増、伸び率は六・一%となっているところでございます。具体的に、個人市民税につきましては本年度二百九十三億円余りの調定でございまして、対前年度六・九%の伸び、法人市民税が五十三億円余りで、これにつきましては伸び率マイナスの一一・八%となっております。固定資産税は二百六十一億円余りで伸び率八%でございます。このように個人市民税固定資産税については堅調な伸びを示しておりますが、法人市民税につきましては、景気の動向もありまして対前年度の調定額を下回っているところでございます。  なお、この法人市民税につきましては通年分ではございませんで、七月時点での調定額でございまして、今後下期分の調定額いかんによってさらに市税収入の伸びに変動が生じるものと予測いたしているところでございます。したがいまして、本年度の税収見込みでございますが、この法人市民税等不確定な部分もございますけれども、現時点で大まかに試算をいたしますと、市税収入総額では七百六十億円台、伸び率にして四%台になるものと見込ませていただいております。  なお、不況対策といたしまして、より一層今後の前向きの対応が必要ではないかという御指摘もございましたが、これにつきましては市長からもお答え申し上げたとおりでございますけれども、現在国の公共事業補正との絡みにおきまして各分野で事業推進についての意向打診等も行われております。今後財源の問題、工期の問題等考慮すべき課題も多々ございますが、景気対策と本市の町づくりの推進という視点から、可能な限り積極的に対応を進めさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。           〔三十二番 西 泰史君 登壇〕 ◆三十二番(西泰史君) 生活を重視する時代との田尻市長のお答えをいただきましたが、一層生活者へ配慮しながらの経済運営をお願いするものでございます。  また、前倒し発注率四五・三%、低過ぎるのではないでしょうか。  また、公共事業の工事代金の支払い、これもなるべくスムーズにお願いしたいと思っております。  いずれにしても本年度は市税の伸び率の低下が予想されるようであります。景気対策との兼ね合いも含めて財政面での的確な取り組み、また景気対策をよろしくお願いいたしておきます。  次に、市民サービスの向上と行政事務の簡素化という観点から、一番身近な各種書類への押印の省略という問題を取り上げてみたいと思います。  市民生活と役所との接点ともいうべき、各種申請書届け出書類などのあらゆる場面に登場するのが日本式の判こ主義、押印という慣例であります。考えてみますと、宅配便の受け取りから郵便物の受領印などに始まり、役所のあらゆる書類、会場の申込書から各種申請書届け出書類に至るまで判こは必ず必要なものと思い込んでおりました。しかし改めてなぜ必要なのか、法律的な裏づけがあるのかと問いかけてみると、余り明確ではないようであります。以前、私自身も会場の申し込み等を行う場合に、手続をしようとした時点で、自分の印鑑だけでは間に合わず組織の代表者の印鑑まで必要なことが初めてわかり印鑑を取りに返ったということもありました。役所への届け出などでついうっかり印鑑を忘れてしまい、急いで売店や近所の文房具屋に走り、いわゆる三文判を買ってきたことなど、身に覚えのあるのは私一人ではないと思います。私たちにとってほとんど日常化された判こ主義とはいえ、案外煩わしいものであります。  そこで提案ですが、この際、各種書類への押印そのものが本当に必要なのかどうか検討されてはいかがでしょうか。そして、印鑑が本当に必要なものと、そうでないものとに区分し、必然性が薄いものについては、市民サービスの向上という意味から思い切って押印の廃止に踏み切ってはいかがでしょうか。  既に押印を大幅に廃止しているところに埼玉県川口市があります。ここでは、各部門の若手係長クラスで構成する行政事務改善委員会があり、毎年一つのテーマを研究課題として市民サービスや庁内事務の改善に取り組んでおり、昭和六十二年度のテーマとして押印の課題を取り上げたそうであります。そこで、市民から市に提出される書類一千十一件のうち、国と県に提出するものを除いた六百九十件を対象に、不正を行う可能性がないか、申請者等を特定する必要があるかどうかなど八項目を基準に検討した結果、二百十三件の書類の押印を省いても問題がないという結論に達し、六十三年度から押印の廃止に踏み切ったそうであります。  押印が廃止された主なものを拾ってみますと、就学願、社会教育関係団体登録申請書税務証明交付申請書公民館使用申請書保育所入所申請書などがあります。押印の廃止は市民にも定着してきており、役所としてのマイナスは特にないということであります。この川口市の例は、役所の慣例や隣合より市民の立場を優先させた英断というべきではないでしょうか。この押印廃止は川口市にとどまらず、昨年四月からは仙台市でも、市民会館や青年文化センターなど約百二十カ所の市施設の利用申込書が署名で済むようになっております。このほかにも神奈川県が全体の約二割に当たる書類から押印を廃止、同じく東京では豊島区と品川区、神奈川県川崎市、山口県下松市、九州内でも北九州市や長崎市などが、市施設の使用申請書を初め、保育所や幼稚園の入所申請書職員採用試験受験申込書等、一部書類の押印廃止を実施しております。特に品川区では、区の固有事務に関する申請書六百四十八種類のうち四四・三%に当たる二百八十七種類、国や都の委任事務を含めた全申請書一千二百四十五種から見ても二三%に及ぶ大幅な押印廃止を行っております。  数多くの事例を紹介いたしましたが、いずれもやってみれば市民には好評であり、あわせて行政事務の簡素化にもつながっております。  そこで、これらの事例を踏まえながらお尋ねいたします。  まず、市民が提出する申請書や届け出書類など、全体でどの程度の種類と件数になるのでしょうか。国や県の委任事務と本市の固有事務とに立て分けてお答えください。  さらに今後、庁内に検討委員会などを設けて研究し、将来、可能な限りの押印廃止を実施するおつもりはございませんか。当局の明快な答弁を求めます。           〔企画調整局長 出田四郎君 登壇〕 ◎企画調整局長(出田四郎君) 西議員にお答え申し上げます。  市民サービスの向上と行政事務の簡素化という観点から、各種書類への市民の皆様の押印を省略してはどうかというようなお尋ねでございますが、押印につきましては法令、条例、規則及び個人情報保護の観点などから本人確認の手段としてお願いしているところでございますが、確かに慣例的になっているものもあるのではないかというふうに考えております。  そこで、改めるべきは改めるということで、一部とはいえ社会体育施設の申し込みにつきましては平成二年度に廃止しているところでございます。今後、押印を必要とする文書の種類及び必要な根拠などの実態調査を行いまして、議員御提案のとおり押印についての検討委員会などを設け見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、御質問の中で種類を明確にというお話でございましたが、まだそこまでの作業をやっておりませんので、その辺は今後いたしたいというふうに考えております。           〔三十二番 西 泰史君 登壇〕 ◆三十二番(西泰史君) 印鑑の追放に向けまして検討委員会を設けていただくということでございますので、その結論に期待をしておきたいと思います。  次に、熊本の福祉増進に大きく寄与するであろう福祉公社ヒューマンライフについてお尋ねをいたします。  この福祉公社につきましては、去る平成元年の第一回定例会におきまして、先進地である武蔵野市等への我が党議員団の現地視察をもとに、熊本版の福祉公社設立を提案申し上げたところでございます。また、熊本市長寿社会対策研究会の平成元年七月に提出されました中間提言にも、具体案の冒頭に熊本市おせわ公社として福祉公社の設立が提言されております。これらの提言から、準備期間を経て本年四月に熊本版福祉公社ヒューマンライフが設立の運びとなったわけでございます。そのヒューマンライフが五カ月に及ぶ準備も整い、いよいよこの九月一日から実動を開始しております。  そこで、登録ヘルパーの申込状況など、設立から今日までの準備内容と市民からの反響、去る一日より提供が開始された福祉サービスの内容、そしてヒューマンライフの将来像をお示しをいただきたいと思います。  続きまして、ホームヘルパーの問題についてお尋ねをいたします。  今後の高齢者福祉を担ういわゆる福祉の三本柱としてホームヘルパー、ショートステイ、デーサービスの拡充が図られているところです。特にホームヘルパーについては、高齢者保健福祉推進十カ年計画いわゆるゴールドプランによれば、一九九九年には十万人の確保が目標とされております。本年度は、国として四万九百五人から四万六千四百五人へと五千五百人の大幅増員を行う予定であり、各市町村に対しても格段のホームヘルプサービスの充実が求められているのであります。  そこで、本市のホームヘルプ事業の現状を踏まえながら、今後の取り組みについてお尋ねと要望をいたしたいと思います。  まず、我が党が先般行ったヘルパーに対するアンケート調査でも、「社会的な認識が低い」六七・三%、「給料が安く、責任に対して待遇が低い」四三・四%、「身分保証が十分でない」四二・八%と、複数回答ながら厳しい仕事の割には社会的な認識が低い、給料や身分の面での不満が寄せられております。また、ヘルパーの仕事に対して「つらい」二八・五%、「生きがいを感じる」六四・九%、「職業だから仕方がない」一四・三%と、厳しい仕事ながらも使命感を持って取り組んでいる様子が浮き彫りにされております。さらに資格に関する質問では、今後、資格取得を望む人は七七・三%と、ヘルパーという仕事に対する意欲の強さを物語っております。  本市の場合もこれまでは、どんなに一生懸命ヘルパーとしての使命を果たしたとしても、給料は月十三万から十四万程度であり、嘱託という不安定な身分とあわせて、重要な仕事の割には社会的な認識が低いのが現状のようであります。もちろんボーナスや退職金制度、介護加算など本市独自の待遇改善対策も講じられていることは十分承知しておりますが、それでも十分とは言えないと思います。例えば長野市では、福祉を担う大切なマンパワーの確保のために、ホームヘルパーの待遇を平成元年度から抜本的に改善し、給与やボーナスなどを委託先の社会福祉協議会の職員と同じにしたところ、採用試験に一挙に八十人が応募、四十二人の採用となり、それまで二、三人の増員が限界であったものが、事態は一変したと聞いております。福祉マンパワーの確保のためには、いかに待遇改善の効果が大きいかというあかしであろうかと思います。  そこで、国が本年度に予定しておりますヘルパーの大幅な待遇改善策を、どう本市で取り込んでいかれるのか、項目ごとにお答えをいただきたいと思います。  まず、給料の増額と退職金制度の一層の充実であります。現行の家事型と介護型とを一本化し、国の試算では、それぞれ平均百六十八万円、二百五十三万円であったものが、一本化しての平均が三百十八万円へと、画期的な上げ幅であり、これが国の補助基準額となるようであります。本市として、家事型、介護型の一本化問題とともに、国の基準額の大幅アップをヘルパーの給与にどう反映していくつもりでしょうか。また給与に関し、現在の、勤務年数が五年増すごとに三千円程度を増額するという微々たる年功序列型賃金体系も、ベテランがもっと意欲を持てる見直しをされてはいかがでしょうか。退職金制度の拡充についてもお考えをお示しください。  同時に、社会福祉士介護福祉士の国家資格が誕生し、頑張って取得された人や、これから取得したいと張り切っている人もおります。中には看護婦等の資格を持っている人もいると聞きますが、これらの有資格者に特別手当などその努力を評価する制度を導入するお考えはございませんでしょうか。  またチーム方式を導入すれば、チームとしての責任の明確化とともに、お互いの切磋琢磨による資質の向上、ケースに即応した福祉サービスの提供などサービス内容の充実が期待されます。このチーム方式とその主任への手当制度も採用されるのでしょうか。  さらにまた、資質の向上対策として、研修会に参加する場合も手当を支給できることも明記されております。この推進はどう取り組まれるのでしょうか。  引き続き、現在の問題点とその解決策についてお尋ねをいたします。  ヘルパーとしてケースにどう対応していいものか悩んだときには、個人で自主的に同僚や先輩ヘルパーに相談しているのが現状のようであります。これらの仕事上の悩みなどを軽減する体制づくりがぜひとも必要かと思われます。例えば地域別の編成を生かして定期的なミーティングを実施するなど、ヘルパー同士の情報交換の場を持てる体制づくりができないものでしょうか。また、ヘルパーに対し専門的なアドバイスとカウンセリングができる体制づくりも大事な問題であります。これらの点についての対策をお示しください。  次に、他の医療、保健、福祉サービスとの連携と調整、ケースマネジメント体制の整備も重要な課題であると思います。これもケースによって、必要な場合はヘルパーが自主的に保健婦と連携をとるなど個人の努力に任された状態でありますが、これらもシステムづくりが必要ではないでしょうか。現在本市に調整チームがあることは承知しておりますが、メンバーが社会的に重要な立場の方々であり、個々のケースについて検討するなどとてもできない状態であると聞きます。ケースマネジメント体制をどうされるのか、明確にお答えをいただきたいと思います。  さらに今後、社会福祉協議会のホームヘルプサービスと福祉公社との連携はどうされるのでしょうか。  また、派遣先で在宅の障害者や高齢者を入浴させる場合、どうしてもヘルパー一人では体力的にも安全性の面からも大変厳しいケースもあると聞きました。当局はあくまでもヘルパーの派遣は一人体制ということにこだわり、二人体制を認めようとしないとのことであります。本市独自ででも上乗せするなど、必要なケースには二人体制での派遣も実施できないのでしょうか。場合によっては、福祉公社登録ヘルパーとの連携プレーも考えられないものでしょうか。  さらに、移動手段の明確化であります。遠隔地を担当する場合、公共交通機関ではとても間に合わない地域もあり、各人の車やバイクをやむを得ず使用しているようであります。これを公用車もしくは公用のバイクを導入するか、または基準を明確にして任意保険への加入を援助することなどができないものでしょうか。  ホームヘルパーの問題について、数多くの要望も交えて申し上げましたが、厚生省の資料によれば、ホームヘルプ事業の運営に当たっては、常勤、非常勤、登録ヘルパーについて、固定的な位置づけや既成の概念にとらわれることなく、どのような形態が地域の実情に照らして住民に最良のサービスを提供できるかという観点に立って再構築を図られたいと、各市町村にホームヘルプサービス事業の格段の充実を求めており、そのためにかなり柔軟な姿勢が見受けられます。これら国の対応の変化も踏まえながら、高齢化社会の福祉を担うかけがえのない人材であるホームヘルパーの待遇改善について、当局の明快な答弁をお願いいたします。  続けて移動入浴車派遣事業についてお尋ねをいたします。  これは詳しく申し上げる必要もないと思いますが、移動入浴車二台、簡易入浴車一台、計三台で、入浴が困難な寝たきりの老人百十二世帯、常時介護が必要な体の不自由な人二十八世帯、計百四十世帯に対して入浴サービスを行っております。この入浴サービスも、今月一日現在で十名の待機されている方がおり、最も長く待っている人は三カ月にもなります。二カ月が四人、一カ月が三人、一カ月未満が二人と、おふろに入れるのが今か今かと待っているのであります。こうして待っている方と同時に、現在、移動入浴車が派遣されている家庭でも、先月の統計によりますと、月一回が六十七世帯、月二回が五十六世帯であります。全体を平均すると一世帯当たり月一・四一回、わかりやすく言うと二カ月にわずか三回ということにしかなりません。特に夏場の不快感は当事者にとっては耐えがたいものがあり、入浴回数の増加を望む切実な声が寄せられております。それは、デーサービスで実施されている入浴サービスも週一回であり、これに準じて、せめて一週間に一回程度の移動入浴サービスが提供されることを、当事者とその家族は祈るような思いで実現を期待いたしております。同時に、待機者の解消も焦眉の課題であります。  昨年二月、四町と合併し大熊本市として新たな出発をした六十四万都市としては、寄贈された入浴車がわずか三台、しかも一台は昭和五十九年の相当古いものであり、余りにも寂しい限りではないでしょうか。早急に移動入浴車の追加導入と体制づくりを行い、待機者の解消と週一回の入浴サービスの実施を強く望むものであります。当局の明快な答弁を求めます。           〔市民局長 野田雅水君 登壇〕 ◎市民局長(野田雅水君) 西議員にお答えを申し上げます。  三点の御質問でございますが、まず熊本市福祉公社ヒューマンライフにつきましては、ただいま西議員御指摘のような経緯を経まして今月一日から事業を開始いたしました。まず設立から事業開始までの経緯でございますが、四月一日に事務局を開設いたしまして、五月一日には専任ホームヘルパー二十五名の委嘱を行いまして、六月二十日までにヘルパー全員、厚生省の定めますヘルパー養成研修二級課程を終了いたしました。さらに七月からは、主として家事援助サービスを担当していただきます時間単位の登録ホームヘルパーにつきまして、校区民生委員児童委員協議会の御協力をいただきながら募集を開始いたしまして、九月現在百五十九名の登録をいただいておるところでございます。  さて、実動に入りましたサービスの内容でございますが、当面ホームヘルプ事業の拡充を中心に、議員御指摘のとおり公的サービスの受託からスタートいたしますが、その回数、時間数、時間単位につきまして、柔軟に対応できますように改善いたしましたのが福祉公社の特色の一つでございます。福祉公社ヒューマンライフでは、おおむね朝八時から夜の八時までの時間帯の中でサービスに当たることにいたしております。現に事業開始の初日に当たりました今月一日には夜八時までのサービスが早速一件ございました。ナイトヘルプは二人でやることにいたしておりますけれども、ヘルパーさん二人が夜の八時までのサービスを提供いたしまして、福祉公社には八時四十分ごろ帰着をいたしました。このケースは年齢は若いのでございますが、車いす生活のひとり暮らしのお宅でありまして、一日の仕事を終えて帰ってからの夕食の支度に苦労するというケースでございまして、これが福祉公社ヒューマンライフが手がけましたナイトヘルプの第一号でございます。  最後に、福祉公社の将来像についてのお尋ねでございます。  二十一世紀が間近に迫りました今、新しい視点に立ちまして超高齢社会に対応し得るより強固なサービスシステムを構築しておく必要がございます。福祉公社ヒューマンライフはこのような長寿社会の基盤整備の一環として発展していかなければならないと考えております。何分スタートしたばかりでございまして、しばらくは試行錯誤を繰り返しながら一歩一歩前進してまいります。人間味豊かなサービスを目指してまいりたいと存じております。  次にホームヘルパーの処遇改善についてのお尋ねでございます。  御案内のように国におきましては、優秀な人材の確保と良質のホームヘルプサービスの提供といった観点から、今年度ホームヘルパーの大幅な処遇改善策を示してきております。改善の内容は西議員御指摘のとおりでございますが、今回の国の改善は単なる補助基準額の大幅なアップということだけではございませんで、従来本俸部分のみ補助対象としていたものでございますけれども、ボーナス等の諸手当、社会保険料等の事業主負担分につきましてもまた補助の対象にしようという内容でございます。今後こうした国の考え方も踏まえまして、例年どおりであれば十二月ごろに示される国からの正式通知を待って処遇改善に取り組んでまいる所存でございます。  次に、賃金体系の見直しにつきましては、先進都市の実態等も調査しながら今後検討してまいりたいと思います。  退職金の拡充につきましては、ホームヘルパーの人材確保、処遇の改善といった観点から、先般加入が認められました社会福祉施設職員等退職共済制度への加入も含めまして前向きに検討してまいりたいと存じます。  次にチーム方式の導入につきましては、定期的なミーティングあるいはカンファレンスつまりケースの検討、こういったものを行うことはサービスの質を確保する上で極めて重要なことでございまして、ソーシャルワーカー、あるいは保健婦さん、指導的なヘルパーなどの人材の確保、他の保健医療サービスとの連携のありようなど十分な検討が必要でございますので、今後有資格者に対する評価制度の導入、処遇の改善、ヘルパーに対する専門的なアドバイスや、申し上げましたような悩みを十分に聞いて解きほぐすといったいわゆる心の相談、そういったこともできる体制づくり、在宅入浴サービスの二人体制といったこと等あわせて検討してまいりたいと存じます。  また、ホームヘルパーの資質の向上のためには、今まで以上に研修を充実したものにしていかなければならないと考えております。先般、八月の初旬におきましては、社会福祉協議会のヘルパーさんを対象にいたしまして接遇研修を実施したところでございます。  次にケースマネジメント体制につきましては、サービス調整機能をその本来機能として持っております在宅介護支援センターに、例えばホームヘルパーや保健婦、地域の医師の皆さん方、施設の職員、民生委員の皆さん等が参加したサービス調整チームの設置をしますとか、そうした試みの中で現場関係によるカンファレンス体制を充実させることによりまして、ヘルパーの資質の向上とサービスの対象者に対する保健、医療、福祉サービスの総合的な提供を図ってまいりたいと考えております。  社協と福祉公社の連携につきましては、現在の社協の体制の中で実施困難な部分をうまく連絡をとり合って、相互に補完しながら、競い合いながら、また特性を生かしながら、それぞれ役割分担のもとに進めてまいりたいと考えております。  次に移動手段の明確化につきましては、ヘルパーさんが活動しやすいようにする、万が一の事故にも対応できるようにするといったことを基本にいたしまして、実態に即した対応をしてまいりたいと考えております。  三点目は移動入浴車派遣事業についての御質問でございます。  入浴サービスは寝たきり老人の皆さん方の清潔の保持、あるいは心身機能の維持、そういったお年寄り、介護を要する方々の生活の質を確保する上で極めて重要でございます。御指摘の待機者十名につきましては既に派遣決定はなされておりまして、近日中に派遣ができる見込みでございます。また、週一回の入浴サービスを実施できないかとのお尋ねでございますが、今後入浴車の増車問題やその効率的運営といったことも考え合わせながら、入浴サービスの回数増に向けた体制整備を検討してまいりたいと考えております。  なお、本年度中に長寿の里デーサービスセンター、あるいはまた本年度末に予定しております(仮称)南部在宅福祉センター、その中にデーサービスセンターも予定をいたしておりまして、さらにはまた民間法人におきましても一カ所、デーサービスセンターの開設が予定をされております。こういったデーサービスセンターにおける入浴サービスも大いに活用していただきたいと考えております。           〔三十二番 西 泰史君 登壇〕 ◆三十二番(西泰史君) 福祉公社ヒューマンライフにつきましては、当面公的サービスの受託からスタートするようでありますが、市民の期待が大きいだけに、公社にしかできない特徴ある福祉サービスを提供していただくことを要望いたしておきます。  ホームヘルパーの問題につきましては、数項目にわたっておりますので一つ一つ申し上げませんが、福祉を担う大切なマンパワーであります。真剣な対応を重ねてお願いをいたしておきます。  移動入浴車の体制充実は、一日も早い結論を、これまた重ねて要望いたしておきます。  続きまして、ふるさと健康長寿のまちづくり基本計画についてお尋ねをいたします。  いよいよ迎える二十一世紀の本格的な高齢化社会に向けて、一人一人が、青壮年期だけではなく中高年期も含めて、生涯を通じ安心と生きがいを持って暮らせる地域社会の形成を促進する必要があります。つまり高齢者にとっては、これまで生活し活動してきた地域社会において、健康で生きがいを持って安心して住み続けることが何よりも重要であり、そのためには単に個々の福祉施設を設置するだけでなく、高齢者の生活を総合的に支援するための各種施設の面的な整備が求められております。  本市も国の指定を受け、平成三年度事業としてふるさと21健康長寿のまちづくり基本計画の策定に取り組んでおります。そこで、この熊本市ふるさと健康長寿のまちづくり基本計画の内容を明らかにしていただきたいと思います。  次に、この基本計画に基づき具体的な実施計画の策定と、その実現をどう進めていかれるのかお示しいただきたいと思います。  また先般、高齢者・障害者にやさしいまちづくり調査が行われ、早速公共施設等の改善が行われ、本年度も調査とともに改修工事が予算化されております。この調査で、手すりの設置や車いすでも動けるように段差の解消、スロープの勾配の改善などが図られております。これらの貴重な調査結果を町づくり指針として集大成されてはいかがでしょうか。  例えば名古屋市では、高齢者や障害者を初め市民だれもが生活しやすい快適環境の町づくりのために、福祉都市環境整備指針を策定いたしております。これは人にやさしい快適環境の町などを基本理念としており、高齢者や障害者がハンディを感じることなく生活できるように、公共建築物、公園、交通機関等の都市施設のエレベーターやトイレ、駐車場などについて具体的に設計と施工上の基準を詳細に示したものであります。東京都も同様の町づくり指針を持っております。ノーマライゼーション社会の構築を現実化すべき時代に即応した、熊本版の人にやさしい町づくり指針を策定し、バリアフリーに積極的に取り組むべきであると思いますが、いかがでしょうか。当局のお考えをお示しください。  次に、緊急通報システムと老人福祉課の人的体制についてお尋ねをいたします。  このペンダント型の緊急通報システムは、いざというときに安心と、特にひとり暮らしの病気がちなお年寄りには大変好評であります。先月中旬のこと、知り合いの、体調が悪くて心細いというひとり暮らしの高齢の御婦人にこの緊急通報装置の話をいたしましたところ非常に喜んでいただき、早速申し込みたいと手続をとられました。まず、この緊急通報システムの有効性を実証するような事例がありましたら、プライバシーに配慮しつつ御紹介をいただきたいと思います。  また、現在までの申込状況はいかがでしょうか。既に当初の計画台数を超えて申し込みがあると聞きますが、そうであれば次の補正ででもすべて設置できるよう配慮すべきと思いますが、当局のお考えをお聞かせください。  また、田尻市長が力を入れておられる高齢者福祉が充実するにつれ、老人福祉課の仕事量も格段にふえているようであります。例えばデーサービス施設も現在六カ所、今年度中には九カ所にまでふえる予定であります。また、ホームヘルプサービスの派遣世帯も、四年前からいたしますと二倍以上になっており、ほとんどの施策やその利用者が格段に増加をしております。こうしてみますと、老人福祉課の人的配備は現在のままで大丈夫でしょうか。当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  続きまして、日帰り人間ドックの助成についてお尋ねをいたします。  この日帰り人間ドックへの助成制度は、国民健康保険の被保険者を対象に昨年度から開始された事業であり、費用の約半額に当たる一万五千円を補助するというものであります。この助成制度を、本年度は受け付けを九月一日から九月末まで、そして受検期間が九月一日から十一月末までの三カ月間で実施することになっており、既に一日より受け付けが開始され、一日に約三十人の方が申請に見えていると聞いております。ところが、この計画そのものにずさんな面があり、予定の一千名の受検が可能かどうか非常に心配であります。まず、申し込みと受検開始が同じことであります。御案内のとおり、人間ドックは受検日のかなり前から予約が可能であります。受検が九月から開始されるのであれば、予約期間を考えてせめて一カ月以上前から受け付けを開始するなどの工夫が必要かと思いますが、いかがでしょうか。  また、熊本市民病院の受検可能数は年間三百名以上、この三カ月間の受検可能数は九十六名でありますが、保険課がこの計画を打診した段階で多くの予約が入っており、国保関係として予約できたのが五十名分であります。しかし市民病院の予定は百二十名で計画されており、当初の計画段階から七十名が市民病院の予定枠からはみ出すことになります。これを見ても、計画そのものが最初から破綻しているとしか言いようがございません。この消化できない予定枠をどう扱うつもりでしょうか。当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  もっと言えば、なぜ三カ月間に期間を限定したのか意味がわかりません。受検する市民の立場に立てば、仕事が幾分暇な時期など、一年を通して一番都合のよい時期に人間ドックを利用できた方がどれだけ便利であるかわかりません。しかし、本年度の受け付けは既に始まっており、当面その推移を見守る以外にありませんが、万一全体の予定枠より申し込みが少なかった場合など、事が計画どおりに運ばなかった場合はどう対応されるつもりか。  あわせて、来年度は計画の段階から、市民が年間を通して人間ドックの受検ができるよう大幅な計画の見直しを求めるものでありますが、当局の明快な答弁を求めます。  あわせまして、国民健康保険に関連し助産費の支給方法の改善をお願いするものです。御案内のとおり、国保の助産費は十三万円から一挙に二十四万円にと本年度より大幅にアップされ、出産をされる市民の方々には、ほとんど出産費用が賄えると大変喜んでいただいております。  この助産費は、保険課に申請し約一カ月後に口座に振り込まれるのが普通であります。つまり、出産費用は退院の際に一たん自分で支払わなければなりません。ところが、出産費用もおよそ二十万から三十万程度と、若い夫婦にとってはその費用負担は大きなものがあります。共働きの方に聞いてみますと、先般、育児休業法が施行されたとはいえ、休業補償は何もありませんし、出産のために仕事をやめて妻の収入がなくなった分だけ大変とのことであります。
     そこで、この若い夫婦の出産にかかわる費用負担を少しでも軽減する意味で、助産費を退院前でも即刻支払えるよう制度化していただけませんでしょうか。本来、健康保険の助産費とは、子供が誕生したお祝いの意味で支給されるものと聞きますが、実際には出産費用に充てられているのが現実であります。保険課の窓口でも、出産費を病院に払うために急いでほしいという要望には例外的に金券を発行する形で即時支払いをしているようでありますが、あくまでも例外であります。この助産費の即時支払いの制度化を強く要望するものでありますが、当局のお考えをお聞かせください。           〔市民局長 野田雅水君 登壇〕 ◎市民局長(野田雅水君) お答えを申し上げます。四点の御質問でございます。  まずふるさと健康長寿のまちづくり基本計画についてお尋ねでございますが、この計画は平成三年度国の補助を受けまして、新熊本構想に基づきます長寿社会に向けての指針として策定をいたしたものでございます。その内容といたしましては、第一には長寿社会に向けての総合的推進体制の確立、市民意識の高揚など基礎づくりの推進、二番目には年金や雇用など生活安定対策の充実、三番目には在宅福祉や施設福祉の充実と保健、医療、福祉サービスの連携強化、四番目には高齢者の生きがい対策の充実と社会参加の促進、五番目には安全で暮らしやすい都市環境の整備、また安心して暮らせる住環境の整備など、五つの施策を総合的にまた効果的に展開いたしましていきいきとした市民福祉都市の実現を目指しているわけでございます。また市内を東、西、南、北、中央の五つの地区に分けまして、そのうち老年人口の割合が比較的高い地区であり既存施設や公的な資源の有効活用が可能な地区といたしまして、南部、西部の両地区を選定いたしまして、南部の御幸地区、西部の(仮称)長寿の里予定地を主要プロジェクトとしてモデル的に展開したいと考えております。そのうち御幸地区につきましてはこのほど国の指定を受け、関係機関、関係者から成る検討委員会を設置いたしまして事業推進に向けての具体的な整備計画づくり、いわゆる面的施設整備計画の策定に取り組むことにいたしております。今議会にはそのための計画策定費用をお願いをしているところでございます。  次に高齢者・障害者にやさしいまちづくり事業につきましては、市庁舎や市民センターなど利用度の高い市の施設百施設につきまして、アプローチ、出入り口、通路、トイレ、エレベーターなどの実態を点検調査いたしたところでございますが、その結果の概略を申し上げますと、施設のアプローチにつきましては、段差が全然ない、あるいは段差解消がなされている施設、こういったものが七三%でございました。また出入り口が自動ドアとなっている施設は四四%でございました。障害者の方々に配慮したエレベーターを設置している施設は六六%、また内部通路につきましてはほとんどの施設について車いすの通行が可能、こういう結果となっております。この調査結果を踏まえまして既に施設の改良に着手をいたしておりますことは、昨日鈴木議員にお答えしたとおりでございます。  次に整備指針をつくったらどうかとの御指摘でありますが、この町づくり事業は県市の共同事業でありますので、今後県が設置されます検討委員会へ本市も参画をいたしまして県と一体となって策定する予定でございます。  三点目は緊急通報システムについてのお尋ねでございますが、この緊急通報システムの有効性を実証するような事例はなかったかというようなお尋ねでございました。平成三年三月の事業開始以来五件の消防局への緊急通報があっているわけでございますけれども、お尋ねの例といたしましては昨年の五月でございましたか、ひとり暮らしのおばあさんが夜の十時半ごろになりまして急に吐き気と腹痛を訴えられまして、本人からの緊急通報となった次第でございますが、早速消防局におかれましては救急車が出動いたしまして最寄りの病院への入院に至りまして、そういう事例があったわけでございます。幸い大した結果でございませんで短期の入院で済んだというわけでございますが、このほかにも似たようなケースがあるわけでございます。そのたびに消防局の方で対応をお願いしているところでございます。  次に、緊急通報システムの設置についてのお尋ねでございまして、現在の申込状況等はどうであろうというような御質問でございましたが、現在の申し込みは四十三台でございますが、これにつきましては早速十月中に設置をいたしたいと考えております。議員御指摘のように高齢者福祉、長寿社会に向けた老人福祉の取り組みの中で老人福祉課の仕事も大分ふえてまいっております。したがいましてこのような状況に対応するために、それに必要な人的体制等につきましても関係部局に十分に御相談、お願いをいたしまして取り組ませていただきたいと存じております。  次に、人間ドックについてのお尋ねでございます。予定の期間中受診希望者が募集人員に達しなかった場合はどうかとのお尋ねでございます。  実は議員御指摘のように九月から十一月までの予定期間でございますけれども、そういった場合には引き続き十二月から三月までの期間いつでも受診できるように再度募集を行いまして、予定枠に達する努力をしてまいりたいと存じます。なお、市民病院での消化ができない予定枠につきましては、病院側と連絡をとり合いまして、お願いをいたしましてその確保をいたす所存でございます。今後は西議員御指摘のとおり年間を通じて受け付けを行い、いつでも希望する検査機関で受診できますよう関係検査機関等にお願いまた調整を図りながら、できるだけ多くの方々に人間ドックを利用していただけるように改善していく所存でございます。  最後に、助産費の支給方法の改善についてでございますが、現行では原則として口座振込の方法で取り扱っているわけでございますけれども、出産費用の支払いにつきましては、ただいま西議員御指摘のようにいろんな事情があるわけでございまして、十分にその趣旨につきましては理解するところでございまして、まさしくそのとおりでございます。今後は申請者の希望により即時払いの方がいいという、その分につきましてはそのように取り扱ってまいりたいと考えております。           〔三十二番 西 泰史君 登壇〕 ◆三十二番(西泰史君) ふるさと基本計画では、長寿社会へ向けましてモデル的な福祉の拠点となる施設整備などを進める計画のようでございますが、早期の実現を要望しておきます。  やさしい町づくり指針も県と共同で策定されるとのことでありますので、よろしくお願いをしておきます。  また、緊急通報システムについてでございますが、先ほど四十三台というお答えがございました。これは私が聞いている数と少し違います。既に当初の予定の台数を超え、今後補正等が必要かと思いますが、再答弁をお願いしておきます。  それから、老人福祉課の人的体制につきましても万全を期していただきたいとこのように思っております。  人間ドックの助成、助産費の即日給付につきましては、ほぼ要望を聞き届けていただいたと思いますので、今後の対応方よろしくお願いしておきます。  次に、環境問題につきまして、密接不可分なために環境保全局、保健衛生局、双方に関連しお尋ねをさせていただきます。  これまで環境への問題意識が高揚する中、リサイクルへの関心はますます高まりつつあります。本市が募集した再生資源集団回収助成制度が発足し、百十一団体の登録申し込みがあったと聞いておりますが、その後の登録状況はいかがでしょうか。数多くの申し込みがあったのも市民の関心のあらわれかと思います。しかし一方では、景気の低迷と再生紙等の売れ行きが思わしくないため、回収量はふえたものの使用量が急減し、鉄くずや古紙の価格は低迷し、回収業者はその置き場に困るほどの在庫に悩まされております。このままではリサイクルシステムそのものが破綻しかねない状況であります。つまりここで再生紙などのリサイクル製品の消費量を拡大していくことも、リサイクルシステムを完成させるために忘れてはならない大切な視点と言えます。  そこでまず再生紙の問題でありますが、熊本市は平成二年度から市庁舎内で使用するコピー用紙などに再生紙を導入されました。マスコミ報道によりますと、主な用紙の購入実績は、二年度は再生紙が九百九十万三千枚、上質紙が八百六十万枚、合計一千八百五十万三千枚と、再生紙が占める割合は五三・三%でした。ところが三年度には再生紙五百八十三万二千枚、上質紙一千九十三万三千枚、合計一千六百七十六万五千枚、再生紙の割合は三四・七%と大幅にダウンしているのが現状であります。一方熊本県は、平成二年一月からコピー用紙として再生紙を導入し九〇%以上を占めました。そして三年度は購入した用紙約四千三百四十四万枚のうち九九%以上に当たる約四千三百十六万枚が再生紙でありました。  これまでは再生紙はやや黒ずんでおり、しかも割高であるというのが難点でありましたが、今では価格も割安となり、紙質も上質紙に負けない再生紙が開発され、完全な中性紙で百年の保存に耐えるというものまで登場し、カラー印刷を初め、あらゆる印刷物に対応できるほど紙の種類も豊富になってきております。再生紙が導入しやすい条件が整ってきたにもかかわらず、市民の先導的役割を果たすべき地方自治体が、一度決めた再生紙の使用比率が低下するなどもってのほかであります。熊本市の環境問題にかける意欲そのものを疑われても仕方がございません。  そこで、再度庁内の再生紙の使用を徹底すべきであると思いますが、いかがでしょうか。ざっと思いつくだけでも、トイレットペーパーに始まり、コピー用紙、庁内での印刷用紙、封筒、紙袋、さらには外注するパンフレットや報告書等々のたぐい、各種印刷物などなど、かなりの量に上ると思われます。  またここ二、三年、家庭ごみはわずかながら減少傾向を見せているのに対し、事業系ごみは約五%程度ずつ増加しており、今ではごみの総量の半分近くを占めるようになっております。それはオフィスのOA化が急速に進展し、機械になじむ上質の紙が使用されており、ごみ増加の大きな要因となっております。加えて、いわゆる機密文書はほとんどが上質紙であり、通常のリサイクルのルートには乗りにくく、シュレッダーにかけられてごみとして出されるなど、本来は最も再生して価値のある上質紙がそのままごみになるケースが多いようであります。民間のある廃品回収業者はここに目をつけ、機密文書の無料回収を行い、製紙工場に直接持ち込んで、みずから立ち会いのもとに溶解するという、機密の保持とリサイクルとを両立したシステムを稼働しております。民間にも徐々に機密文書のリサイクルの動きが始まっております。           〔議長退席、副議長着席〕  そこでお尋ねをいたします。まず、庁舎内で使用される用紙を初め、あらゆる紙製品、さらに外部に発注する印刷物にまで再生紙の使用を義務づけるべきであると思いますし、全庁的な取り組みが必要であります。再生紙の使用をどのように徹底されるのか具体的にお答えをいただきたいと思います。  また、機密文書などの上質紙のリサイクルにどう取り組んでこられたのか。またそれを民間等にも、どう拡大し、ごみ減量に連動させていくつもりでしょうか。  事業系のごみの増加に手をやいた福岡市では、去る九月一日よりオフィス古紙回収モデル事業を開始いたしました。これは、床面積一万平米以上の建物を、ビル単位でごみの減量とリサイクルシステムの導入を指導していくことになったものであります。本市におけるオフィスごみ、事業系ごみの減量対策とリサイクル化への取り組みを具体的にお答えをいただきたいと思います。  また、ごみ減量キャンペーンの一環として生ごみ堆肥化容器いわゆるコンポスターのモニターを募集したところ、定員の百人に対し十五倍近い一千四百九十一人の申し込みがあり、環境問題への市民意識の高さを示すものと言えます。私は、このコンポスターの助成制度を二年以上前から提案しておりました。各地の自治体で、助成制度と給付制度とを問わずかなりの成果を上げておりました。モニター制度の実施も一歩前進と評価いたしますが、もっと早く取り組んでほしかったというのが実感であります。モニター制度の成果を踏まえ、なるべく早期にコンポスターへの助成制度、もしくは給付制度を実現していただきたいと思いますが、当局のお考えをお聞かせください。  引き続き、各地で実施されております空き缶や紙パック、廃油などのリサイクルについてお尋ねをいたします。  先日も空き缶のデポジット制導入について提案があったところでありますけれども、この空き缶と紙パックの回収について各地でさまざまな試みがなされておりますが、岡山市のケースを取り上げてみたいと思います。岡山市では昨年の七月より「くうかん鳥」、「かばくん」と名づけられた空き缶回収機三台を設置し、同時に紙パックの回収もスタートさせました。初日に集まったのは市民約三百人、集まった空き缶は二万三千四十九個、紙パック一万三千八十二枚と、市当局も予想をしなかった成果を上げたようであります。いずれも、それぞれ一つが一枚の補助券と引きかえ、さらに補助券二百枚で百円分の図書券と交換できるというものです。この日に参加した主婦の一人は、以前から牛乳パックと空き缶をためていましたが、持っていくところがなく困っていました。主婦の間に芽生えつつある意識を高めるためにも、公的な支援が必要であると訴えていたそうであります。  私自身にも、牛乳パックを集めているが、持っていくところがないので、市で回収してもらえないかという声が、ここ一、二年の間に幾つか寄せられました。以前は市当局も、回収してくれる業者の情報さえなく、そのままになっていました。しかし先般から、牛乳パック回収に取り組む小中学校十校をモデル校に指定し回収を奨励されているのは承知しております。しかし、一般市民にとっては身近なところに回収拠点があることが必要であります。これらの回収の試みは、大阪市、帯広市、長崎市などなど全国各地で実績を上げております。そこで、本市でも市民センターなどに回収拠点を設け、集まったものを障害者福祉等に活用するなどの工夫ができないものでしょうか。  また廃油については、鹿児島県の鹿屋市では、川と海の浄化を目指し、六年前から廃油石けんづくりに取り組み、二カ所に石けん工場を設置し、将来は中学校区ごとに石けん工場をつくりたいと張り切っております。そして市庁舎の水を使用するすべての場所に廃油石けんを置いているとのことであります。河川の浄化対策と廃油の回収という一石二鳥の成果が上がっており、昨年度末現在で八千四百リットル、ドラム缶四十二本分の食用廃油を回収するという実績を上げております。埼玉県志木市でも、最新の粉石けん製造機を導入し市民に開放しております。堺市では劇薬である苛性ソーダのかわりに、オルト珪酸ナトリウムを使った廃油石けんづくりに取り組んでおり、鹿屋市も同様の取り組みを開始したと聞いております。また愛知県東海市では、拠点方式で廃油の回収を本年より開始したと聞きます。  そこで、各地で既に実施されている紙パックや空き缶の回収事業、廃油による石けん製造機等を導入し市民に自由に実地研修をしてもらう制度など、一部地域からでもモデル的に取り組まれるお考えはございませんか。もちろんどれを取り上げても難しい点は幾つかあります。しかし、できない理由だけを並べていても一歩も前には進まないのであります。リサイクルを推進し、同様に市民の意識啓発を図る意味からも、ささやかでも一歩を踏み出してみれば、必ずそれが将来の大きな前進につながることを確信するものです。当局の明快な答弁を求めます。  続きまして、地下水を含む水問題について簡潔にお尋ねをいたします。  御案内のとおりに、本市の地下水は私たち市民一人一人にとっては命をつなぐかけがえのない大切なものであります。その地下水が、高平台地区の有機塩素系物質による汚染と東野地区のガソリン汚染は、地下水に対する私たちの関心を嫌が上にも高めるのに十分ショッキングな出来事でございました。高平台地区については揚水による汚染浄化法等の実験が続けられ、今月三日からはガス抜き法による本格的なトリクロロエチレンの除去が始まり、年内に二千キログラムの回収を目指すようであります。一方、東野地区のガソリン汚染も揚水実験による浄化プラントを稼働しており、一定の効果を上げております。  そこでお尋ねをいたします。東野地区のガソリン汚染のその後の追跡調査結果がございましたら発表していただきたいと思います。この東野地区の周辺部に、ガソリンに汚染されてはいないものの、井戸水を飲料水として使用している地域が残っております。今は大丈夫でも将来が心配であり、この際上水道に切りかえたいという要望がございました。そこは水道の本管が通っていない地域でございますので、水道局の格段の御配慮をお願いいたしておきます。  また、地下水質の保全のために、独自の上乗せ条例である熊本県地下水質保全条例に定められた有害物質を使用している事業所の届け出が義務づけられましたが、その状況をお示しください。また、排水の検査が義務づけられていると思いますが、その検査結果がありましたらあわせてお願いをいたします。           〔市民局長 野田雅水君 登壇〕 ◎市民局長(野田雅水君) 先ほど御答弁申し上げました緊急通報システムの設置につきまして訂正を申し上げます。  申込状況は四十三件でございます。そのうち既に予算をいただいております三十台につきましては十月中に設置したいと考えております。残る十三台につきましては予算の補正をお願いをいたしまして、その上で速やかに対応をいたす所存でございます。どうかよろしくお願いいたします。           〔環境保全局長 後藤勝介君 登壇〕 ◎環境保全局長(後藤勝介君) 西議員に私の方から、環境問題に関しまして環境保全局が担当いたしておりますものについてお答えを申し上げます。  まず第一点目は庁舎での再生紙の使用の件でございます。  もう申すまでもございません、リサイクル問題の中で古紙のリサイクルというのは、森林保護あるいは環境保全という立場から非常に重要な問題であると考えております。市の庁舎内におきましての再生紙の使用につきましては、平成二年四月からその使用を各課に呼びかけてまいったところでございます。しかしながら、ただいま御指摘がございましたように、残念ながらその徹底に至っていないのが現状でございます。したがいまして、去る八月の十二日に資源リサイクルに関します庁内における対応を協議いたしますために、庁内の関係八課で構成いたします熊本市資源リサイクル推進連絡会議を設置したところでございます。その中で、まずコピー用紙等に再生紙の積極的な使用を図るということを決定したところでございます。その具体的な対応といたしましては、長期保存にすぐれ、白色度も上質紙と遜色のない再生紙をこのたび単価契約をいたしまして、その使用を徹底するように各課に文書で依頼したところでございます。また庁内において使用いたします紙製品の中では、現在トイレットペーパーにつきましては再生紙を使用しておりますが、さらに封筒や外部に発注します配布文書、広報用ちらしなど他の製品につきましても本連絡会議の中で検討をいたしまして、再生紙を最大限に使用できますように協議を行ってまいりたいと考えております。  なお、福岡市の例を御紹介ございましたけれども、ビル単位での古紙リサイクルシステムの導入につきましては、資源保護、事業系ごみの減少を図る上で大きな効果が期待できるものと考えますので、このモデル事業の進め方を十分調査をいたしまして、本市でも実施できますよう事業者などとも協議をしてまいりたいと考えております。  次に、空き缶と紙パックのリサイクルについてでございますが、空き缶の回収、再資源化につきましては、従来から清掃部の方で実施をしております再資源化推進事業の中で全市的に月二回収集を行っております。さらに、去る九月一日からは再生資源集団回収助成事業を開始したところでございまして、この中でアルミ缶を助成対象品目に指定をいたしまして、再資源化の促進を図っているところでございます。この制度に係る再資源化回収団体の登録受け付け状況でございますが、本年八月から受け付けを開始いたしまして、現在三百八十五団体が登録を終わられたところでございます。  なお、民間でも一部の飲料メーカーではございますけれども、自動販売機の横に回収ボックスを設置されまして独自に缶等の回収を行われている事例もございます。また、牛乳パックにつきましては現在一部の市民団体や小中学校で回収活動が行われておりますし、また店内に回収ボックスを設けておられる小売業者もございます。しかしながら、ただいま西議員御指摘がございましたとおり、空き缶や牛乳パックの回収運動をさらに推進してまいりますためには、一般市民の皆様方が気楽に足を運べるような回収拠点を設けることが必要であると考えております。したがいまして、この回収拠点設置につきましては、ただいま御紹介をいただきました都市の事例等も研究をさせていただきたいと考えております。  なお、現在本市の牛乳パックのリサイクル活動は障害者福祉施設が中心となって行われておりますので、この点に十分配慮し、事業推進に当たっては障害者福祉に貢献できますような方法をあわせて検討してまいりたいと考えております。  それから廃油対策でございます。  御承知のように廃油は非常にBODの値が高くて、河川浄化のためには廃油対策が重要であると言われております。この廃油対策としまして最も望ましいやり方はリサイクルであると考えておりますし、家庭のてんぷら油などは本市におきましても一部の婦人団体などで石けんの原料として利用されております。しかしながらまだ一部でございまして、十分とはいえないと考えております。したがいまして、今後廃油のリサイクルを推進していきますために、婦人団体などを中心とした市民グループによる研修会の開催、あるいは情報交換の場所の設置をいたしまして、市民団体による廃油のリサイクル運動を支援してまいりたいと考えておりますし、さらには大規模な廃油資源化を進めますために、一般家庭などから排出される廃油を回収し、再資源化する拠点の設置につきましても検討をしてまいりたいと考えております。  次に、東野地区におきますガソリン汚染に関しましてお答えを申し上げます。  この問題につきましては、昨年一月に事故が起きまして以来、市議会でいろいろと御指導をいただきながら対応をしてまいったところでございます。私どもも関係各課によりますガソリン汚染対策班を設置いたしまして、東野地域へのいろんな対応を進めてまいったところでございますし、汚染地区にございます二十本の井戸を対象といたしまして定期的な水質の監視を行いますとともに、その周辺にございます百本の井戸につきましても、これまで三月と七月に一斉採水調査を実施し状況の把握に努めてきたところでございます。この百本の井戸を調査しました七月の結果によりますと、三月の時点で汚染が見られました二十四本の井戸が十六本にまで減少をいたしておりまして、汚染の範囲が縮小をしたのではないかと考えられます。  また、井戸水に含まれておりますベンゼンの濃度につきましても、調査井戸のうち三月の調査では四十二ミリグラムパーリッターございましたものが、七月の調査では十五ミリグラムパーリッターと低下している井戸もございます。このような状況で好ましい方向に向かっているのではないかと考えておりますが、これが一時的な減少かどうか、初めての経験でございますのではっきりしたことが申し上げられませんので、今後とも監視を続けてまいりたいと考えております。  さらにガソリンの回収でございますが、これまで井戸の中に油層が見られましたものにつきましては回収を行ってまいりました。昨年の二月十三日から本年の三月十六日までの間、合計二千百九十四・五リットルの回収を行ったところでございます。その後は油層は見られておらず、ガソリンの回収は行っておりません。また、本年二月四日から汚染地区の中心部に浄化プラントを設けましてガソリン成分の除去を行っているところでございますが、これまでに七十三・八キロの成分の除去を終わったところでございます。こういうことで、おかげをもちまして浄化プラントの効果も周辺井戸に徐々にではございますがあらわれているようでございますし、先ほど申し上げましたとおりガソリン成分の濃度も低下傾向にございますので、除去対策につきましては今後も引き続き継続してまいりたいと考えております。  最後に、有害物質関係の事業所の調査等についてお答えを申し上げます。  有害物質によります地下水汚染を防止するために制定をされました水質汚濁防止法並びに熊本県地下水質保全条例に基づきます有害物質使用届け出事業所は、平成四年三月末現在で百八十一事業所でございます。このうち排水規制を受けます事業所は八十六事業所となっております。主な事業所はクリーニング所、病院、出版印刷業、電気機械器具製造業、金属製品製造業等でございます。排水基準につきましては平成四年四月から新たに適用されております。この基準に基づき排水検査を平成四年四月から八月末にかけまして、クリーニング所、病院等五十の事業所について実施をいたしました。その結果、七カ所のクリーニング事業所でテトラクロロエチレンの排水基準値〇・〇一ミリグラムパーリッターを超えておりました。超えておりました数値は最も低いところで〇・〇二一ミリグラムパーリッター、最も高いところで〇・二三ミリグラムパーリッターでございます。この排水基準を超えた事業所を原因別に見てみますと、処理施設の構造不備によるもの一事業所、有機溶剤の使用管理不適正によるもの二事業所、既に汚染されている井戸を使用しているためと考えられるもの四事業所でございました。これらの事業所に対しましては既に構造設備の改善、使用管理の徹底、さらに排水の下水道への接続等を命じたところでございます。今後残りの三十六事業所に対しましても順次排水検査を実施し、有害物質による水質汚濁の防止に万全を期してまいりたいと考えております。           〔保健衛生局長 工藤 磐君 登壇〕 ◎保健衛生局長(工藤磐君) リサイクル問題の中で、機密文書などの上質紙のリサイクル、企業系ごみの減量対策、生ごみ堆肥化容器の助成制度の三点について西議員にお答え申し上げます。  議員御指摘のように一般家庭ごみが横ばい傾向を示す中で、企業ごみにつきましては相変わらず増加の傾向を示しております。特に紙ごみの増加が著しく、ごみ量全体の約半分を占めるに至っております。  お尋ねの機密文書の取り扱いでございますが、これまで焼却処分をしておりました庁内文書につきましては、平成三年度から各課ごとに市内の製紙会社に引き取りを依頼しておりまして、平成三年度の実績は一年間で六・四トンでございましたが、平成四年度では先月までの五カ月間で十九トンと急増して、ごみ減量に大いに寄与しているところでございます。この製紙会社は機密文書を古紙溶解機に直接投入することで機密を保持しておりますが、ただいま御紹介いただきましたように契約により機密を保持できる古紙回収業者もありまして、今後とも紙ごみのリサイクルにつきましては企業等への啓発を含めて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  また事業系ごみの減量対策でございますけれども、具体的な取り組みといたしましては、企業向けのパンフレット一万二千部を作成いたしまして現在各業界の組合等を通じて協力をお願いしているところでございます。  なお、紙ごみにかかわらず、ごみの多量排出事業所につきましては、立入調査の機会を通じて減量化やリサイクルについての指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。  次に生ごみ堆肥化容器についてのお尋ねでございますが、今年度モニターを募集いたしまして市民のごみ減量に関する意識の高さを改めて感じたところでございます。今後はモニターに対しますアンケート調査等を踏まえ、議員御提案の容器購入に対します助成制度等を検討してまいりたいと考えております。           〔三十二番 西 泰史君 登壇〕 ◆三十二番(西泰史君) 庁内の資源リサイクルに関しまして推進連絡会議を新たに設けて推進するということでございますので、その成果に期待をいたしたいと思います。まずは市政だよりも再生紙にしてはどうかと思いますが、いかがでございましょうか。  コンポスターの助成制度も早急な導入をお願いをいたしておきます。  いずれにいたしましても、再生紙の使用やリサイクルの徹底がごみの減量とともに限りある資源を有効に活用することにもつながります。そのためにも地方公共団体が先導的な役割を果たしていくべきと考えます。  また、空き缶、紙パック、廃油のリサイクルについては、だれでも知っている事例を申し上げましたが、私が申し上げたいことは、何もしなければ一歩も前に進まないということであります。当局のより積極的な取り組みを強く要望いたしておきます。  ガソリンの汚染井戸につきましては、わずかながらでも減少傾向にあることは幸いだと思いますが、今後とも高平地区、東野地区、いずれも厳重な検査体制を継続し、大切な地下水にこれ以上の汚染が拡大しないよう一層の努力をお願いいたしておきます。  また、県条例による排水基準を超えた事業所が七カ所あったということでありますが、改善命令とともに、恐らく中小の業者と思われますので、融資制度等によるサポートも含めてよろしくお願いをしておきます。  次に登校拒否児問題についてお尋ねをいたします。  先般発表されました文部省の学校基本調査によれば、平成三年度に学校嫌いを理由に三十日以上欠席した登校拒否の児童・生徒は、小学生は全児童の〇・一四%に当たる一万二千六百三十七人、中学生は一・〇四%に当たる五万四千百十二人、合計六万六千七百四十九人に上ることが明らかになりました。文部省は、登校拒否を早期に発見し即時対応しようということで、これまで五十日であった欠席日数を三十日以上に引き下げて調査をしたのであります。さらに欠席が長期化する傾向にあり、教育関係者のみならず私たちも人ごととは思えません。この調査結果を文部省も深刻に受けとめており、鳩山文部大臣が先月二十五日の記者会見で、登校拒否への緊急対策として、登校拒否児本人に対する原因の聞き取り調査や原因解明に向けた基礎的研究に乗り出す方針を明らかにしております。  本来子供は一人一人がかけがえのない無限の可能性を秘めており、それをはぐくむのが教育であると思います。であるならば、登校拒否の解決策も、究極は教師や親、地域の人とを問わず、人間と人間との触れ合いの中に見出せるものではないでしょうか。そこで我が党が提案申し上げたのがメンタルフレンド制でありました。  そこでお尋ねをいたします。本市の登校拒否児の実態はどうなっているのでしょうか。また、教育センターにさまざまな教育相談が寄せられていると思いますが、その実態もあわせてお答えください。  本市も深刻な事態と思われますが、これまでの延長線上の対策だけでは決して解決にはつながらないと思います。教育委員会としての取り組みはどうされるのか、具体的にお答えください。  さらに、メンタルフレンド制が導入されてしばらくたちますが、その成果のほどはいかがでしょうか。プライバシーに配慮しながら、有効な事例も含めて御紹介をいただきたいと思います。  引き続き教育情報ネットワークシステムの基本構想についてお尋ねをいたします。  この教育情報ネットワークシステムについては、先進地である八戸市では、先生方が作成した研究教材や教育情報を各学校に設置してあるパソコンで自由に引き出して使えるシステムや、教育委員会からの連絡文書等を一斉に送信するなど、これからデータが充実するとともにこのネットワークシステムの真価が発揮されていくと期待をしておりました。本市としても将来の高度情報化社会へ向けて、コンピューターによる教育情報ネットワークの構築へ一歩踏み出されたのであります。先般から検討されておりました基本構想がまとまっておりましたら、その全貌を御紹介ください。  次に、熊本市学校給食会の法人化についてお尋ねをいたします。  学校給食は、昭和二十九年に学校給食法が制定され、望ましい食習慣や明るい社会性の育成、学校生活を豊かにする等の目的を持って実施されております。学校の給食の改善を図り、円滑な運営をするために学校給食会が設立され、現在物資の共同購入などを行っており、その物資の購入額の一%が給食会の運営費に充てられております。それは給食費として父母より徴収しているのであり、だれでも納得できるガラス張りの給食会の運営でなければなりません。ところが、聞くところによりますと、給食会の運用資金として三千万円が積み立てられていると伺っています。この三千万円はどんな目的で積み立てられているのか。熊本市の学校給食会会則にも定められてはいないと思います。明快な答弁をお願いいたします。  また、九州の各県を見ますと、八代市、長崎市、佐世保市、諌早市、福岡市等が財団法人化して運営を行っております。法人化した場合の効果として、一つは責任体制の明確化、二つに会計や資産管理体制の整備、三つに組織の安定化、四つに職員の身分の安定化、五つに統一献立ての実施促進及び統一的な給食費の設定ができる等々、対外的な信用性を確立できることが挙げられます。本市においては平成三年度、二十五億円以上の物資を購入いたしております。財団法人化して明瞭な運営を図るべきだと考えますがいかがでしょうか。  財団法人化をするとき基本財産として一定額が必要ですが、このお金は市の出捐金として出すべきであると考えます。父母負担の給食費の一部で給食会が運営されている以上、その中からの三千万円の積立金はあくまでも父母に還元しなければならないのではないでしょうか。教育長の明快なる答弁をお願いいたします。           〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕 ◎教育長(谷口弘毅君) 西議員にお答えをいたしたいと思います。まず最初に不登校児の状況と、それからその教育相談の状況についてお答えをいたしたいと思います。  御案内のとおりに先月の文部省の発表によりますと、平成三年度の年間五十日以上の不登校児童・生徒数は過去最多となっておりまして、全国的に増加いたし社会問題となっているところでございます。本市におきましての不登校児童・生徒数は、小中学校合わせまして昭和六十二年度百十六名、六十三年度百三十七名、平成元年度百五十九名、平成二年度百八十九名、そして平成三年度は二百五十六名となっており、増加いたしておるわけでございます。さらに本年度より調査されました平成三年度年間三十日以上の不登校児童・生徒数は六十二名となっておりまして、合計しますと三百十八名となっております。また、不登校問題について教育センターでの相談を受けました延べ人数は二千六百九十七名となっておるところでございます。残念なことではございますが、年々増加の傾向にございまして、議員各位にも御心配をおかけし、私としてもこの問題を厳しく受けとめている次第でございます。  そこで教育委員会といたしましては、例年、校長会、教頭会、生徒指導担当会を初め生徒指導教育講演会、あるいは生徒指導合宿研修会等を開催いたしておりまして、不登校問題解決のための研修をさらに深めているところでございます。また、昨年二月には「不登校の子供への指導手引書」を作成いたしまして指導の徹底を図っているところでございます。しかしながら厳しい現状を見ますとき、今後も教育委員会といたしましては不登校問題へのさらなる努力をしてまいる決意でございます。そして現在、平成元年度版に続きまして新しい生徒指導手引書をつくるということに着手しているところでございまして、その内容はすべての教育活動の現場、場面におきまして、教師と子供との信頼関係確立を目指しました予防最優先の生徒指導を考慮したものを考えておるところでございます。来年度には完成いたしまして配布できるよう作業を進めておるところでございます。また指導主事の学校担当制を新しく導入いたしまして、指導主事十四名に一人平均二、三校を担当させまして、各学校の不登校児童・生徒の現状について聞き取り調査いたしまして、教育委員会と学校現場が一体となった対応を現在検討いたしておるところでございます。  次にメンタルフレンドの現状とその成果でございますが、教育センターでは不登校の児童・生徒に対しまして相談及び指導という立場からカウンセリング及び適応指導にただいま積極的に取り組んでおるところでございます。その効ありまして学校復帰を含め心理的行動面での著しい変容が認められておるところでございます。御承知のとおりにメンタルフレンド訪問相談事業は本年一月に発足いたしたわけでございます。これは不登校により家に引きこもりがちな児童・生徒への対応といたしまして、より世代の近い大学生等を家庭に派遣いたしまして、心の触れ合いをもとに立ち直りを援助していくものでございます。現在大学生八名のメンタルフレンドと五名の嘱託訪問相談員によって積極的に活動を進めておるところでございます。その具体的な活動の状況といたしましては、八月末現在で保護者からの派遣依頼数二十四名、これに対しまして実際派遣しておりますもの二十二名となっておるところでございます。  その成果でございますが、派遣いたしました二十二名のうち六名が相談終了になっております。その内訳は学校復帰によるもの三名、卒業によるもの三名、継続して訪問相談を行っているものが十六名でございます。初回の訪問では顔を合わせることすらできなかった子供たちが、訪問を重ねるごとに笑顔がだんだん出てまいりまして話ができるようになり、メンタルフレンドの訪問日を心待つというようなケースがほとんどだということを聞いております。  一つの事例を挙げますと、最初の訪問相談時には返事もできずうずくまるだけでございましたが、だんだん庭へ出てボール遊び等をする中で次第に心を開いてまいりまして、メンタルフレンドと戸外に出ることが可能になってきております。このような変容の後母親とともに登校を始めまして、初めは保健室登校でありましたが、今では自由に教室にいることができるようになっております。メンタルフレンドはこのような子供たちの変容に勇気づけられながら日々努力をいたしておるところでございます。今後の取り組みにつきましては、このような有効な活動をますます充実させまして、より効果的に進めるためメンタルフレンドと訪問相談員との連携をさらに密にしながら研修を重ねまして、予想されます派遣依頼の増加にも十分対応してまいりたいと思っております。  次に、教育情報ネットワークシステムについての基本構想の全容をというような御質問でございます。  平成五年度から実施されます中学校の新学習指導要領に取り上げられました情報化への対応を推進いたしますために、本市では平成二年度から平成四年度にかけまして市内の中学校三十三校すべてにおのおの二十一台のコンピューターを導入する計画をこれまで進めてまいったところでございます。導入されましたコンピューターを有効に活用して情報教育をより充実発展させるためには、学習に使うソフトを初めさまざまな教材の収集、蓄積、活用が必要になっております。このような状況の中で、本市教育委員会におきましてはコンピューターによる教育情報の開発、収集、蓄積を行うために教育情報ネットワークシステムの調査研究に取り組んでいるところでございます。これまでに情報ネットワークの先進地の調査や教職員、児童・生徒を対象といたしました情報ニーズ調査を行ってまいりました。これらの結果を踏まえまして次のような基本構想を考えているところでございます。本市の基本構想ではデータベースの開発とパソコン通信利用の二つの面からシステムを考えておるところでございます。データベースシステムの開発面では、国立研究所等で開発されました文献や教育統計等に関するデータをいつでもどこからでも検索できるシステム、教育現場から要求度の高い教育ソフトなどの情報につきまして本市で開発整備して提供するシステム、郷土の歴史、文化に関する資料をデータベース化いたしまして内容にストーリー性を持たせ楽しみながら学べるシステム等を考えておるところでございます。  次にパソコン通信の学習指導での利用でございますが、電子メールによります心の交流を図るとともに、次のような事例を考えているところでございます。理科の観察のデータを交換しながら環境教育に役立て、そして養護学校の生徒と電子メールの交換をしながら交流教育に役立てる、外国の学校と電子メールを交換しながら国際理解教育に役立てる等の構想をいたしておるところでございます。これらの構想を具体化していくために今後の取り組みといたしましては、モデル校を設けまして、そこでの実践を踏まえながら、ネットワークの利用範囲、取り上げる情報の具体的な内容、データベースの開発、活用の方法等につきまして調査研究を進めてまいりたいと思います。またさらに社会教育の分野におきましては、公民館等の社会教育施設に端末機を置きまして、生涯学習に利用できるようなデータベースの開発とともに、パソコン通信にも利用できるようにしておけば市民の生涯学習にも役立てることができるものと考えております。生涯学習における教育情報ネットワークの利用計画等につきましてはこれからの課題としてとらえているところでございます。  次に学校給食会の法人化等についてのお尋ねでございます。  熊本市の学校給食会は、学校給食の改善を図り、あわせてその円滑な運営に寄与することを目的といたしまして、熊本市教育委員会の指導助言のもとに、学校給食用物資の共同購入事業や学校給食に必要な調査研究活動、及び普及奨励事業等を行っておるところでございます。その運営につきましては、給食用物資の共同購入額の一%の学校負担金や補助金をその財源といたしております。  お尋ねの積立金でございますが、財政調整積立金は、学校給食会の運営資金としての学校負担金の収入と人件費等の支出を調整する財源としているものでございます。また財政調整積立金とは別に、今後学校給食会を財団法人化するための目的のためにその基本財産の一部として積み立てをしているものでございます。学校給食用物資の共同購入は、一面において大量の物資を継続的に扱うものであり、これまでも特に責任の明確化、経理の徹底化には努めてきているところでございます。今後学校給食会の事業を進める上で、その運営をより合理化し明確化していくためにも組織強化を図り法人化が必要と考えられます。法人化のためには設立の際に一定の基本財産が必要になるわけでございますが、議員お尋ねの基本財産につきましては、他都市の学校給食会を調査いたしましたところ、市からの出捐金のほか種々の方法がございます。  また現在の積立金を保護者に還元すべきではというお尋ねでございますが、これに関しましてはこれまで積み立ててきました経緯もあることでございますので、その対応につきましては十分に検討させていただきたいと存じます。さらに、財団法人化には設立目的達成に必要な事業活動ができるような恒常的な収入等の財産的基盤の確保も必要とされておりますので、これらの点を踏まえまして今後総合的に調査検討を進めてまいりたいと存じます。           〔三十二番 西 泰史君 登壇〕 ◆三十二番(西泰史君) 不登校児は年を追うごとにふえておりまして、社会全体で温かくサポートしていくことが肝要かと思います。  また、新しい指導手引書の作成や、指導主事による学校担当制度などとともに、メンタルフレンドの一層の充実と活躍に期待をいたしておきたいと思います。  教育情報ネットワークは、学校教育だけにとどまらず、生涯教育という観点からも幅広く市民に利用できるものにしていただきたいと思いますし、国内外とのパソコン通信による教育効果にも期待をいたしております。
     また、ただいまございました学校給食会の財団法人化と積立金の処置については、市民の皆さんの納得が得られるよう早急な結論を強く要望いたしておきます。  以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。舌をかまない程度に急いだつもりでございますが、大変長時間にわたってしまいました。議員の皆様には御清聴まことにありがとうございました。また、お忙しい中をおいでいただきました傍聴の皆様にも心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手)     ────────────────── ○副議長(西田続君) この際、議事の都合により休憩いたします。  午後二時に再開いたします。             午前十一時五十二分 休憩             ────────────             午後 二時  三分 再開 ○議長(嶋田幾雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。     ────────────────── ○議長(嶋田幾雄君) 質問を続行いたします。田辺正信君。           〔九番 田辺正信君 登壇 拍手〕 ◆九番(田辺正信君) どうもお疲れさまでございます。  日本社会党の田辺正信でございます。  今回二回目の質問でございますが、質問の機会を与えていただきました先輩議員及び同僚議員各位に対し心から御礼を申し上げます。また、私自身まだまだ勉強不足で、おわかりにくい点も多々あろうかと思いますが、執行部の皆様の明快な御答弁をお願いいたしまして、質問通告に従いまして質問に移らせていただきます。  まず、地下水の保全についてお尋ねいたします。  限りある地球の資源の保全は、自然環境の回復と共に人類共通の課題であり、水資源についてもその例外ではない。  古来、わが熊本市は豊かな緑と清冽な地下水に恵まれた自然の下生々発展を遂げて来たが、今日における無秩序な地下水の開発と自然環境の破壊は、今や地下水の汚染をはじめその枯渇さえ憂慮される状態にある。  よって、本議会は市民の総意を結集して自然環境の回復、保全をはかり、貴重な水資源を後世まで守り伝えていくことを誓い、ここにわが熊本市を地下水保全都市とすることを宣言する。  これは、昭和五十一年三月に宣言されました地下水保全都市宣言の全文でございますが、この宣言以降、五十二年に地下水の保全を図ることを目的に熊本市地下水保全条例がつくられ、五十三年には熊本市地下水保全条例施行規則が定められております。また、昭和六十三年十月一日には熊本市環境基本条例が制定されております。  このような中で昭和五十二年に水道局総務部に地下水保全対策室が設置され、機構改革により、保健衛生局、企画広報部、保健衛生局となり、本年四月より環境保全局が新設され、地下水保全部で事業の推進に向け努力がなされているところであります。またこの間、熊本市上水道事業研究会により熊本市及びその周辺の地下水について量、質両面から考察されたものをまとめられた熊本市及びその周辺の地下水についての報告があり、また、地下水についてさらに知見を深め全容を把握するため熊本県、熊本市との共同で二年間にわたって調査が行われ、六十一年三月熊本地域地下水調査の報告がなされております。  また、熊本市の地下水を取り巻く環境が、量、質両面にわたって厳しい状況になっていく中で、水資源、特に地下水資源を量、質ともに保全しこれを後世に長く守り伝えるためには、行政はもとより市民一人一人がみずからの問題として認識しその解決に向かって取り組む必要があるとの観点から、各界の代表、学識経験者及び行政機関から成る熊本市水問題推進懇談会が昭和六十二年八月に設置され、平成三年に地下水保全のための提言が行われております。また、昭和六十一年には熊本市地下水保全対策協議会が設置され、全庁的にも積極的な対策がなされてきているものと考えております。  そこでお伺いいたしますが、これまで述べてまいりましたように、地下水の保全に向け、これまで積極的に事業展開が図られてきているものと思いますが、これまでどのような対策が展開されてきたのか、その成果及び問題点について明らかにしていただきたいと思います。           〔環境保全局長 後藤勝介君 登壇〕 ◎環境保全局長(後藤勝介君) 田辺議員にお答えを申し上げます。昭和五十一年に行われました地下水保全都市宣言以降今日までの展開あるいは問題点等についてお尋ねでございました。  本市の地下水保全の対策につきましては、今日まで、市議会のいろいろの御協力のもとに執行を行っているわけでございますが、今いろいろと説明がございましたとおり、執行体制の整備を行いますとともに、地下水保全条例の制定あるいは地下水汚染実態調査、大口利用者に対します合理化指導、水源涵養林の造成、雨水浸透ますへの補助、さらには雨水利用施設等の設置等を行っているところでございまして、地下水保全部はもちろんでございますが、各局の御協力をいただきながら取り組んでまいったところでございます。  そういう中でこれまでの成果でございますが、いろいろ考えられますけれども、その最たるものといたしましては、昭和五十三年度から実施してまいりました地下水保全条例に基づく地下水採取状況におきまして、昭和五十三年度の採取量が全体量で年間一億四千三百万トンございましたものが、平成二年度には一億二千七百万トンとなりまして、量において一千五百三十万トン、率にして約一〇%減少したということがございます。これは主として都市活動用水の分野での水使用合理化指導の結果があらわれたものと判断しておりますけれども、総合的な評価につきましてはなお長期的に見る必要があると考えております。  また一方、問題点といたしましてはこれもいろいろあると思いますけれども、一般家庭におきます一人一日当たりの水の使用量が平成三年度で、例えば福岡市の二百八リットルに対しまして本市は二百六十七リットルと約三〇%も多いという事実がございます。これは先日も申し上げたわけでございますけれども、福岡市では昭和五十三年に二百八十七日間にも及ぶ制限給水がございました。このことが今日この数字の差となってあらわれているのではないかと考えております。さらにまた土地利用の状況いわゆる本市の水源の涵養域という面から考えまして、本市の涵養域のほとんどが阿蘇山の西ろくを中心とした市域外にございます。したがいまして、その保全への取り組みが、市域を越えるということもありましてなかなか難しいという点も問題点ではなかろうかと考えております。           〔九番 田辺正信君 登壇〕 ◆九番(田辺正信君) 今御答弁いただきましたが、地下水保全のための啓発、地下水合理化、監視観測体制、人工涵養などについて取り組まれ、一定の成果を上げていることは評価するところでありますが、熊本市水問題推進懇談会の報告書の中で、地下水収支のバランスが崩れて地下水位が低下し、湧水量が減少する等、地下水は憂慮さるべき状態となったと指摘されていますように、抜本的な対策までには至っていないのではないでしょうか。これまでの対応を見てみますと、対処療法的なものであったような気がいたします。これからの取り組みについてはもう一歩踏み込んだ予防療法的な積極的なものでなければならないのではないでしょうか。  そのような立場から、本日は地下水の量及び質の保全についてお尋ねすることにしておりましたけれども、時間の都合もあり、量の保全に的を絞り込み私見を交えお尋ねいたします。  まず一つには、地下水の総合的な調査の実施についてであります。  これまでの施策の基礎資料は五十九年から六十年にかけて県市合同で行われた熊本地域地下水調査によるもののようであります。調査から六年たっており、熊本市周辺の市町村も市街地や宅地の拡大、工場建設などの開発が進む中で大きく環境が変わりつつあります。地下水保全の抜本的な対策を行うために、一日も早い総合調査の実施を強く求めるものであります。  二つには、地下水の保全についてであります。  さきに述べました熊本市水問題推進懇談会の提言の中で、熊本市に進めてもらいたいこととして、水利用の合理化、地下水の涵養、水資源の確保、地下水汚染対策、地下水監視体制の確立、市民意識の高揚など、また、県や他の市町村の協力を得て進めてもらいたいこととして、地下水涵養域における土地保全、地下水の人工涵養の検討、農薬、肥料等による地下水汚染問題、産業廃棄物処理施設等の指導などについて、さらには国の指導や支援のもとに進めてもらいたいこととして、代替水源の開発、地下浸透ダム建設促進などそれぞれについて述べられております。これらの問題についてはすべて熊本市総合計画でも触れられているところではございますが、今後の取り組みに大きく期待を持つものであります。  そこでお尋ねいたします。地下水保全の中長期計画及び年次実施計画についてはどのようにお考えなのかお伺いいたしたいと思います。  また計画の中で各部門ごとの対策、例えば小学校を対象とした節水教育推進校の指定や五福小学校や長嶺小学校、中学校などでの雨水利用による中水道施設の整備、あるいは地下水涵養対策、また楡木小、清水中などへの浸透ますの設置、渡鹿、保田窪本町一号線道路改良工事、大津町真木の水源涵養林の造成事業などと各局において取り組まれておりますが、庁舎、市民センター、事業所などの施設や都市公園、市営住宅など各公共施設について、さらには各部門で事業を進める中で節水、保全を目的とした諸施策の検討を積極的に進めるべきではないかと考えるところでございます。このことについては熊本市地下水保全対策協議会で全庁的な検討が行われているかと思いますが、これからの取り組みについて明らかにしていただきたいと思います。  次に、地下水保全に関連して地下水の涵養域の問題についてお尋ねしたいと思います。  熊本市の地下水を考えるにあたっては、託麻台地上に広がる水田と、白川より導水している上井手堰に代表される農業用水路の役割りについてとくにふれる必要がある。──この白川沿いの農業用取水堰により導水された潅漑用水は、水田面から大量に地下へ浸透し、地下水となって前述の古加勢川に沿って南下し、水前寺・江津湧泉群の一大涵養源としての役割りを果たしている。  上井手は、大津町上井手土地改良区が管理する四二五Dの水田をうるおす潅漑用水路である。現在、潅漑用水として常時八H/秒、最大一四H/秒、日量にして約七〇~一二〇万Hを白川から取水している。この取水量は、一般的な水田の日減水深二〇~三〇㎜と比較した場合にはきわめて過大な量であり取水量を潅漑面積で割った同水田の日減水深は一六五~二八五㎜にも達する莫大な量となる。  この理由は、水田の位置する託麻台地が極めて大きな透水性に富む託麻砂礫層によって形成されているからで、このために大量の農業用水が地下へ浸透し、普通の水田と比べはるかに多量の潅漑用水を必要とするわけである。──仮に水田面からの蒸発散、あるいは地表流出による損失量を半分とすれば、実に日量一〇〇万m3を越える潅漑用水が地下水に転化していることになる。  以上述べたように、潅漑期における水前寺・江津湧泉群の最大の涵養源は、白川に設けられたいくつかの農業用取水堰によって導水された託麻台地上の水田であると結論できる。  少し説明が長くなりましたけれども、今申し上げましたのは、昭和五十五年に出されております熊本市水道局の調査報告書の中の上井手水路の役割として述べられているものでございますが、熊本市の地下水を考える場合非常に重要なことではないかと思います。この調査は十年以上前の調査でありますが、その後の市街化の進展に加え大津町周辺は、国道五十七号バイパスの開通や企業の進出により大きく変貌しております。その結果、山林、畑、水田などの涵養地は減り続けております。また政府の減反政策により大津町では平成三年度の耕地面積八百八十ヘクタールのうち実に四〇%が減反または転作の対象とされるなど、水源としての役割も低下しつつあります。このような状況を見るときに、熊本市民への影響を考えると早急な対策が求められているのではないでしょうか。  千葉県市川市では水田の大切さに目をつけ遊水機能保全対策事業を取り入れ、治水対策とともに地下水の涵養に役立てようとする事業が進められております。すなわち田や畑を持っている農家と保全協定が結ばれ、埋め立てや盛り土をしないことを条件に、農家に対し、水田で一平方メートルにつき年間五十五円、一反にいたしますと五万五千円の補助金が出されており、ちなみに畑の場合は一平方メートル四十五円。現在田が四十一ヘクタール、畑が六ヘクタールの広さの土地が保全され、ここにためられる水量は実に十三万四千トンと計算されております。さきに農林水産省が発表した資料によりますと、水田の洪水防止効果及び地下水涵養などの働きを金に換算いたしますと、洪水防止効果が一年間に一兆二千三百十億円、水資源涵養効果が五千九百五十三億円等と膨大な経済効果があると指摘しておりますし、このほか水田の果たす役割は、生態系の維持、大気の保全、景観の保持等々極めて大きな経済効果があると考えるものであります。熊本市としましても、これまで熊本地域地下水保全対策会議において各市町村との対応がされてきていることとは思いますが、先ほどから述べておりますように、大津町、菊陽町、西原村、益城町など、水田、畑地の保全について早急な対策が必要であります。そういう意味からも市川市の事業は本市としても学ぶことは大であるのではないでしょうか。  この問題は広域にわたることから県の行政指導が特に必要になりますし、各市町村の協力を抜きには考えられない問題であり、かなりの時間がかかる問題であろうかと思いますが、どのように対応されていこうとしているのかお聞かせいただきたいと思います。  次に、地下水合理化の関係から地下水対策協議会についてお尋ねいたします。  これは地下水源の保全を目的につくられているもので、企業や商工会議所、医師会、農協、行政など一定以上の揚水施設を有する事業所や当該関係団体で構成されているものであります。熊本の場合は、八代市、荒尾・長洲において協議会がつくられているようでございます。本市地域においても、工業用水の使用を合理化するための具体的方策を定めることにより、工業用水の使用合理化を体系的に推進し、もって当該地域の地下水位の低下等地下水障害の防止と水需給の安定に資することを目的とした熊本地域における工業用水使用合理化指導準則により、用水の再使用の指導が行われ、地下水採取状況での工業、建築物、家庭用、その他の採取量は、旧市域で見てみますと、昭和六十年度約三千八百六十三万トン、平成二年では約二千六百九十三万トンと減少しております。一定の効果が出ているようでございますが、さらにその輪を広げるためにも地下水利用対策協議会の設置についても考えてみてはいかがでしょうか、お尋ねいたします。  次に、地下水の保全に関連して受益者としての経済的負担についてお伺いいたします。  水問題推進懇談会全委員の総意で、市民への一石を投じたいとして、一トン一円運動で地下水涵養をといった提言がされているわけでありますが、真剣に考えなければならないことではないでしょうか。市民の飲料水を確保していくためにはどれだけの地下水への浸透量が必要なのか、また、涵養域を保全しなければならないのか、そのための資金はどうなさるのか。これまで十分に検討を進めて取り組まれてきたことではありますが、経済的な負担について求めていくことは行政としても考えなければならないことではないかと思いますが、いかがでしょうか。  最後に代替水源の開発についてお尋ねいたします。  このことにつきましても熊本市総合計画の中で、七滝ダムの建設促進として触れられていますが、将来にわたって地下水に頼っていく私たちにとって、地下水の質、量関係からいかなる問題が生じるかわかりません。そういった意味から検討が進められてきたものと考えますが、今後の見通しについてお尋ねいたしたいと思います。  また、飲料水のすべてを地下水に依存しております本市の上水道にとって、この代替水源の検討は最優先されるべき問題と考えております。この点について水道事業管理者としてどのような対策を考えておられるのかお尋ねいたします。  以上、地下水の保全について申し上げてまいりましたが、関係局長の御答弁をお願いいたします。           〔環境保全局長 後藤勝介君 登壇〕 ◎環境保全局長(後藤勝介君) 地下水に関連いたしまして私の方から六点ほどお答えを申し上げます。  まず、地下水の総合的な調査と中長期的な計画という点のお尋ねであったかと思います。  地下水の総合調査につきましては、ただいま田辺議員から御指摘がございましたとおり、前回の調査から期間も相当経過しておりまして、土地利用状況等の変化、また前回の調査以降これまで蓄積されましたデータもございますので、将来の方向性を見出すための総合的な調査が必要であろうと認識をしているところでございます。しかしながら地下水の調査は広域に及びますことから、県を初め関係市町村の理解と御協力を得る必要がございます。今後、地下水の量及び質の保全に係る予防的な対策の検討を含めまして、できるだけ早い時期に調査ができますよう努力をしてまいりたいと考えております。その結果を踏まえまして、中長期的な計画あるいは実施計画を作成してまいりたいと考えております。  次に、地下水保全事業について全庁的な取り組みを今後どうしていくのかというお尋ねであったかと思います。  この件に関しましては庁内に熊本市地下水保全対策協議会を設置いたしておりまして、地下水保全に係ります具体的な事業の推進について総合的に協議を重ねてまいっているところでございます。したがいまして今後も、新熊本構想あるいはその実施計画、さらには財政の長期的な見通し等との整合性も図りながら、地下水保全に係ります積極的な事業を推進してまいりたいと考えております。  それから、地下水涵養についてでございます。ただいまいろいろ詳しく御指摘がございましたけれども、水田や畑などの農地は地下水の涵養に大きな役割を果たしております。特に地層的に透水性の高い託麻台地及び大津、菊陽地域等は熊本市の地下水にとりまして大切な涵養地域となっております。したがいまして、この地域の動向につきましては極めて強い関心を持っているわけでございます。  このような意味も踏まえまして、去る六月一日国土庁長官の出席のもとに本市で開催されました国土庁主催の国土行政に関する地方懇談会におきまして、特に田尻市長から発言を求められ、地下水の量、質の保全のためにはその涵養域の保全が大切であること、そのためには広域的な土地利用の適正化が不可欠であり、国土利用計画など土地利用計画の策定に当たっては、例えば水源涵養保全地域の指定などについて検討していただきたい旨の意見を述べられたところでございます。  御承知のとおり本市におきましては、これまで産業局におきまして大津町真木地区において水源涵養林整備事業を行いますとともに、平成二年度に設立をいたしました財団法人熊本地下水基金におきましても、本市周辺市町村での水田涵養のための諸事業に取り組んでいるところでございます。さらにまた農地を利用しました水源涵養事業として、平成二年度と三年度の実験をもとに、涵養効果の高かった連棟式ビニールハウスの雨水浸透施設につきまして本年度から事業に取り組んでいるところでございます。  いずれにいたしましても、地域の発展とともに農地の宅地化や開発が進みます中でかんがい期、非かんがい期を通して農地が確保されますことは、地下水保全という意味からだけではなく自然保護という面からも極めて重要なことであると考えております。したがいまして議員御提案の助成制度につきましては、今後十分検討いたしますとともに、県当局あるいは関係市町村とも協議をしてまいりたいと考えております。  次に地下水利用対策協議会についてでございます。  ただいま田辺議員から御指摘ございましたとおり、本県内には八代市と荒尾・長洲地域に設立されております。この協議会は工業用水のほか、都市活動用水、上水道用水などの地下水利用者で構成され、地下水を保全するため、節水、合理化、雑用水の再利用等に自主的な取り組みがなされておるものでございます。水資源のほとんどを地下水に依存しているという熊本地域の特殊性を考えますときに、将来の地下水保全のために市民の節水に対する努力はもとよりでございますけれども、事業所、企業その他いろいろの都市活動における地下水利用者においても地下水の保全対策に自主的に取り組んでいただく必要があるというふうに考えております。そういうことで、地下水利用対策協議会の設立は今後積極的に取り組むべき課題であると考えておりますので、県を初め関係市町村あるいは関係企業や団体とも連絡を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。  次に、地下水の保全と受益者負担という点についてのお尋ねであったかと思います。  地下水利用者の地下水保全に対します経済負担につきましては、私どもが承知しております範囲では神奈川県の秦野市、京都府の長岡京市などにおきまして大口利用者から協力金を徴収しておられるようでございます。地下水利用者の経済負担につきましては、地下水に関する総合的な法規制が存在していない現時点では、地域内のどの範囲を対象とするのか、どのような内容にするのかなど難しい問題もあるようでございます。しかしながら利用者としての社会的責任の面から、また受益者負担としての面からも検討する必要があると考えますので、先ほどお答えを申し上げましたが、地下水利用対策協議会等が設立されますならばそういう中で十分論議しながら取り組んでまいりたいと考えております。  次に、代替水源の開発についてお答えを申し上げます。  ただいまお話もございましたように、現在建設省におきましては緑川水系御船川の七滝ダムを多目的ダムと位置づけまして、昭和四十八年から各種の調査を実施されております。また平成三年度からは実施計画調査が行われているようでございます。一方また、本市の新熊本構想の中でも代替水源の確保を推進することを掲げております。御承知のとおり代替水源の開発につきましては、代替水源を何に求めるのか、その時期はいつからか、その費用はどのくらいかかるのか、あるいはまたその費用をだれが負担するのかなど、というようないろいろと解決すべき問題がございます。したがいまして、本市といたしましてはこの七滝ダムの計画の推移も十分見守りながら、今後の地下水保全対策の計画等も踏まえまして慎重に対応してまいりたいと考えております。           〔市長 田尻靖幹君 登壇〕 ◎市長(田尻靖幹君) 田辺議員にお答えをいたしたいと思います。  ただいま、地下水の保全関係の問題につきましては局長より詳細に御報告申し上げました。環境問題が非常に世界的な論議を呼んでいる中におきまして、特に我が熊本市の地下水問題につきましてお取り上げいただきまして深く敬意を表する次第であります。私どもは、まさに命の水であります地下水の保全につきましては、今後市議会議員各位とともに政策のすべてをかけて守り通していかなければならないと、このように強い決意を持っております。今後とも御指導いただきたいと思います。           〔水道事業管理者 境 三子夫君 登壇〕 ◎水道事業管理者(境三子夫君) ただいま水源の確保につきまして環境保全局長より御答弁がありましたが、上水道の使命であります水の安定給水を行う立場から、今後の水源の確保につきまして田辺議員にお答え申し上げます。  水源の確保につきましては、現在まで地下水を基調としてまいってきておるわけでございますが、しかし議員御指摘のとおりに現在までの状況を考えてみました場合に、地下水を取り巻く環境につきましては、量、質ともに非常に厳しい状況にあるということは十分認識しておるわけでございます。しかしながらダムなどいわゆる表流水からの取水につきましては、将来の水需要と供給の関係、あるいは地下水の収支、経営状況や水利権の問題などを総合的に勘案した上で判断されなければならない大きな問題でございまして、水道事業といたしましても慎重に対応しなければならないというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、さきの議会でも申し上げましたが、学識経験者で構成されております上水道水源研究会を設置いたしまして、具体的な水源の確保につきまして現在御審議をいただいておるところでございまして、平成五年の末には御答申をいただく予定になっております。したがいまして、この結果を踏まえまして、今後関係部局と十分連携を図りながら水源の確保に努めてまいる所存でございます。           〔九番 田辺正信君 登壇〕 ◆九番(田辺正信君) ただいまは田尻市長より地下水は命の水であると、守り通すといった力強い決意をお伺いいたしまして、私も非常に意を強くしたところでございます。宣言文にもありますように、市民の総意を結集して自然環境の回復、保全を図り、貴重な水資源を後世まで守り伝えていかなければならないのではないでしょうか。そういう立場で今御答弁をいただいたわけでありますが、まず調査の件でありますけれども、一日も早く調査の実施をしていただきたい。調査が終わった段階での中長期計画ということでありますから、そのことを考えましても強く御要望申し上げたいと思います。  また、全庁的な節水、地下水の保全対策につきましては、私たちが日常的に考えてみましても、本庁舎につきましてもすべてが上水道に頼っている。また市営団地につきましても、具体的にはまだそこまでの施策には至っていないというようなこういう問題一つ考えましても、各局に関します施策というものはかなり膨大のものになるのではないかというふうに考えるところであります。そういった意味では、各局におきますこういった具体的な施策につきまして協議会の中で十分論議をされまして、一日も早くその具体的施策を市民の前に差し示していただきたい。このことも要望しておきたいというふうに思います。  また助成金につきましては、先ほど申し上げました市川市の場合は四十七ヘクタールでございますから、二千数百万になろうかと思います。そういった意味では、大津周辺の水田を考えますと五億から八億ぐらいかかるのではないかと思いますけれども、しかし命の水という立場から考えましても決して私たちの投資として高いものではないと、このように考えるところでございます。そういった意味では、助成金の問題につきましてもぜひ真剣に検討をしていただきたい、このように考えるところでございます。  また協議会につきましては先ほども申し上げましたように、こういった問題につきまして広範囲にわたって協議をする場というのは私たち自身も求めてきたことでありますし、一日も早く設置されることを切に望むものであります。  ただいまの答弁を受けまして、今御要望を申し上げましたけれども、大津周辺における水田、畑、山林などの保全、また地下水の人工涵養、節水対策、汚染防止など積極的な対応を強く要望いたしまして次の質問に移らせていただきます。  同和行政についてお尋ねいたします。  部落解放基本法制定のために本市としても行政の立場から御努力をいただき、改めてこの場をおかりいたしまして御礼を申し上げたいと思います。基本法については制定するところまでには至りませんでしたが、地対財特法が五年延長されることになりました。今後も引き続き、基本法制定に向けて本市として御奮闘いただきますよう要請をしておきたいと思います。  さて、ことしは、全国水平社が一九二二年三月三日に結成をされて七十周年を迎えております。結成大会において採択された水平社宣言と綱領は人間の尊厳を高くうたっております。それ以降、部落差別の解消に向けた努力が各方面において進められ、一九六五年には同対審答申として結実しております。  この答申を踏まえて、本市においてもいわゆる同和行政が進めてこられ、昨年十二月定例市議会における私の質問に対して、当時の坂西市民局長は次のような答弁をされております。「今日まで特別措置法をよりどころとしながら鋭意地域改善対策事業の推進に努めてまいりました。その結果、生活環境の整備等の物的な面につきましては、ただいまお触れになりましたように一定の改善が見られるに至っております。しかしながら、現行の地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の期限切れを目前に、対象地区の生活実態面におきましてはいまだ格差があり、かつ悪質な差別事象の発生が後を絶たないなど、同和問題解決のためには取り組むべきいろいろな課題が残されています。同和問題を根本的に解決していくにはこれまで以上に啓発や教育を初めとする各種施策を進めていく必要がございます。」このように述べられておりますが、これからの五年間は、同和行政を進めていく上で極めて重要な五年間になるのではないかというふうに思います。  そこで、部落差別の完全解消を実現するための行政の決意と、これからの具体的取り組みについてお伺いいたしたいと思います。  一つは、昨年十二月の地対協の意見具申についての本市としての評価についてであります。  二つには、地対財特法五年延長に対する評価及び五年後の失効後における本市としての同和行政のあり方についてであります。  三つには、本市としての同和行政の成果と課題についてどのようにお考えになっているのか。またそれに基づく中長期にわたる事業計画及び総合年次実施計画について、環境改善、産業の振興、就労保障、社会教育(啓発活動)、学校教育等について明らかにしていただきたいと思います。  さらには、法延長時における附帯決議の中の実態調査の実施については、いつ、どのような内容で行われるのか。また、それぞれの課題について審議する、例えば学識経験者や関係者などによる審議会の設置を考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。関係局長にお尋ねいたします。           〔市民局長 野田雅水君 登壇〕 ◎市民局長(野田雅水君) 田辺議員にお答えを申し上げます。お尋ねの第一点は地域改善対策協議会の意見具申についてでございます。  同和問題の早期解決を目指しまして、改めて国民的課題として重要性を強調しておりますこの意見具申の中で、物的事業につきましては相当進捗してきたが、引き続き残事業を実施するとともに、これからはさらに就労対策、産業の振興、教育啓発など非物的な事業に重点を置いた施策の積極的な推進が重要な課題であるというようにこの意見具申で述べられております。本市では基本的にこの地域改善対策協議会の意見具申の精神を尊重いたしまして同和行政を推進してまいる所存でございます。  次に、地対財特法の問題でございます。  法の五年延長につきましては、国におきまして地域改善対策協議会の意見具申を尊重し、問題の早期解決を図るためには、地対財特法の趣旨を踏まえ平成四年度以降においても真に必要な事業に限って国の財政上の特別措置を講じ、その円滑かつ迅速な遂行を図ることが必要であるとされております。本市におきましても、残された事業につきましてより迅速かつ計画的な実施に努めまして早期解決を目指し努力してまいりたいと存じます。  法の失効後につきましては、啓発活動を中心に推進を図りますとともに、個人施策等につきましては一般施策への移行を原則といたしながらも対象地域の実態を踏まえて推進すべきであると考えております。  次に、本市の同和行政の成果と課題についてでございます。  本市におきましては同和問題の早期解決を目指し国及び県の施策に歩調を合わせながら昭和四十七年度から種々の事業を実施してまいりました結果、事業開始年度から平成三年度までの事業費総額は約八十二億円余りでございます。この結果、一定の成果をおさめつつあるわけでございますが、しかしなお就労対策、産業の振興、教育問題等一般地域との格差が残されております。したがいまして、国民的課題としての同和問題を初め、人権問題につきましては行政の責務として取り組みますとともに、市民一人一人が正しく認識し、みずからの課題として受けとめ、その解決に当たりましては行政、市民が一体となった総合的見地からの施策の推進が必要でございます。総合実施計画につきましては、地域改善対策協議会の意見具申の趣旨を踏まえ、市民の基本的人権の確立を念頭に置きまして、真に差別のない明るい社会建設に努力を傾注してまいる所存でございます。  啓発活動につきましては、国際的に人権尊重思想が普及いたします中で、心理的差別の解消に向けての努力を重ねていくことが以前にも増して重要となっております。このため市民一人一人が人権問題について一層理解を深め、みずからの意識を見詰め直しますとともに、みずからを啓発していくことが大切であると思っております。本市におきましても、市政だよりによる啓発、パンフレットの作成、映写会、講演会等を積極的に進めまして、市民啓発を初め企業職場内研修、市職員の研修、学校教育の場での研修、こういった取り組みに努めておりますが、さらにまた創意工夫を凝らしまして啓発活動をより積極的に推進してまいる所存でございます。
     次に、審議会の設置につきましては、本市の対象地域における事業の円滑かつ適正な執行を図るため、平成三年五月に熊本市地域改善対策推進委員会を設置いたしております。この委員会は行政職十名、対象地域におきます団体の代表者の皆様方七名、住民代表の方一名で構成されておりまして、今後ともこの推進委員会を中心にいたしまして同和行政を推進してまいりたいと存じます。  実態調査につきましては、今後国、県の動向を踏まえて対応してまいりたいと存じます。           〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕 ◎教育長(谷口弘毅君) 私の方からは学校における同和教育についてお答えをいたします。  学校における同和教育は、すべての教育活動の中で児童・生徒に人権尊重の精神を認識させ、部落差別を初めあらゆる差別をなくしていく意欲と実践力を育成することであると認識いたしております。特に同和地区の児童・生徒の学力向上措置と適正な進路保障をねらいとして推進しているところでございます。また同和教育の一層の推進を図るために、指導者研修の充実や啓発活動の推進、進路の保障などに取り組んでまいりましたが、なお問題事象や差別事象が後を断たないのも事実でございます。このようなことから、今後とも同和教育の解決に向けまして、特に教職員の意識の高揚と指導力の向上が必要でございますし、また同和地区の子供を初めすべての子供の学力や進路の保障に力を注いでまいりたいと考えておるところでございます。  この研修、啓発等の具体的な例を申し上げますと、教職員研修等では、管理職研修や校務分掌別研修、地区別同和教育研修、派遣研修等の研修をさらに充実させたいと考えております。今年度の計画では、管理職の指導力の育成に力を入れまして、先進地からの講師などを招き研修を進めてまいる予定でございます。また啓発資料の作成を計画的に進めながら、各学校における校内研修が効果的でございますので、その充実をさらに図ってまいります。  進路の保障につきましては、昨年度から進路保障委員会を設けており、学力の問題、それから進学や就職に関する調査研究、卒業生の追指導などに取り組んでおるところでございます。今後、同和問題解決のために果たす教育の役割は大であるというような認識に立ちまして、差別の完全解消を目指す基本的人権の尊重の精神に徹した教育の実現に鋭意努めてまいります。           〔九番 田辺正信君 登壇〕 ◆九番(田辺正信君) ただいま教育長及び市民局長から御答弁いただきましたけれども、市民局長の御答弁をお聞きしておりますと、十二月の私の質問よりも後退をしているのではないかと、前回の坂西局長の答弁よりもどうも後退をしているのではないかと、そのようにしか受け取られません。例えば調査の問題につきましても、時期と内容等について私の方からお尋ねいたしたわけでございますが、前回の調査は昭和五十八年の二月一日に実施をされているわけでございます。それからしますと実態調査そのものは九年前の調査ということになろうかと思います。それぞれの問題そのものについては認めながらも、具体的にどのように解決を図っていくのか、そのこと事態を今回の質問で私自身求めたところでございます。そういった意味では、まず何としましても実態を調査する中で施策を立てていくと、こういうことになろうかと思います。そういった観点からさらに調査の関係につきまして再度御答弁をいただきたいと思います。           〔市民局長 野田雅水君 登壇〕 ◎市民局長(野田雅水君) お答えを申し上げます。実態調査につきまして補足申し上げます。  地域改善対策に関する大綱によりますと、これまでの地域改善対策の効果を測定いたしまして、同和地区の実態あるいは国民の意識等について把握をいたしますため、しかるべき時期に全国的規模の調査が行われることといたしまして、その調査結果の客観性を保障できる実施体制あるいは方法等につきまして慎重かつ早期検討をすることになっておるわけでございまして、今後とも実態調査に努めてまいりたいと存じます。           〔九番 田辺正信君 登壇〕 ◆九番(田辺正信君) 時間等の関係もありますので、次に進みますけれども、今の市民局長の答弁をお聞きしておりますと、やはり二十一世紀までの差別解消といったような私たちの気持ちからしますとほど遠いように感じられてなりません。そういった意味では、先ほど私の方で質問しました内容等についても、具体的に委員会等の中でまた質問するかと思いますけれども、もっと同和問題に対して積極的な対応をしていただきますようさらにお願いをしておきたいと思います。  地対財特法も五年延長された期間におきまして、同和問題を根本的に解決していくという立場から、これから施策が進められていくことになろうかと思います。私は、啓発と同時に産業の振興、就労保障は安定した生活基盤を確立するためにも極めて重要であろうかと思います。五年後の失効後の対応などを考えた場合、一分一秒たりともむだにはできないのではないでしょうか。先ほど申し上げましたように、そういった意味では行政側の積極的な取り組みを強く要望しておきたいというふうに思います。  次の質問に移らせていただきたいと思います。教育問題についてであります。  二月十一日の熊日のニュースを紹介いたしますと──ちょっと長くなりますけれども、読み上げます。  『県教委が本年度から始めた個人学習診断テストは不思議な代物だ。  五日には県内のモデル校百十一校である予定だったが、熊本市内の小学校四校は、熊大付属中の入試を受ける児童がいるという理由で翌日になった。今後も実施がずれる学校はあり得るという。同じ問題で別の日に実施する共通テストにどれだけ信頼を置けるのか。  また、テストは子供の理解度と同時に教師自身が授業の出来を確認するため、教師自ら問題を作り、自分で採点するのが本来の姿であり、理想でもある。今の学校でそれが不足しているのなら、行政がすべきことは、まず教師に猛省を促し、それができる環境を整えることであるはずだ。  県教委が問題を作り、業者が採点。子供に渡されるのは、用意された例文からコンピューターが選んで打ち出す「励ましの言葉」というのでは、人間的なぬくもりはない。  さらに懸念されるのは、子供の学力データを行政が一元的に握ることだ。県教委は「比較などに使うつもりはない」としているが、大学受験に奔走する高校の間では既に「小中学校に刺激を与えるため、試験結果を公表すべきだ」との声も出始めているという。  今回の百十一校、三万六千人を対象にしたテストで千八百七十万円の費用がかかっている。全校実施になれば六千万円程度が予想される。それだけの予算があれば、複式学級の削減なり、不登校・中退問題に悩む教師のカウンセリング研修の充実なり、ほかに使い道はいくらでもあるはずだ。』 「不可解な学習診断テスト」ということで掲載されていたわけでございますけれども、私にとりましても考えさせられた記事でございました。そういった立場から質問を続けさせていただきますが、個人学習診断テストは児童・生徒一人一人に焦点を当て、教科の基礎的、基本的事項の習熟の状況等を明らかにして、個に応じた指導の徹底を図ることを目的として県教育委員会として行われているわけであります。現在全県で実施されている沖縄では、先生の間でも、生徒を合宿させたり、個別指導をするなどエスカレートの傾向が出てきておりますし、県教委は学校訪問の際、学力向上対策や取り組み状況の報告を求めているようでございます。また成績優秀者にはディズニーランドや北海道スキーに招待する経費や慰労会の経費の計上をする自治体も出てきておりますし、職員の中には多忙な中で休職者がふえてきており、学級間や学年間の意思の疎通がうまくいかなくなり、子供も荒れ始めているなど、診断テストにより多くの問題が沖縄では出てきているようでございます。  谷口教育長はさきの私の質問に対し、個人の学習の習熟度を診断すること、他と比較したり序列化しないこと、学校間、学年間との比較をしないなど徹底してまいりたいと答弁されておりますが、このような沖縄の現状についてどのようにお考えになっているのか。また学級間、学校間、地域間の競争がエスカレートするような事態が生じた場合、私は診断テストを市教委としておやめになるべきだと考えますが、教育長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  次に、経費の関係についてお尋ねいたします。  今年度も小学校全学年及び中学校一、二学年が平成五年一月十四日、中学校三学年が十二月十一日に合わせて百十校程度の学校で行われるようでございますが、経費は昨年が一千九百万ほどかかっておりますし、ことしは二千百万円程度の予算措置となっているかにお聞きしております。  そこでお尋ねいたしますが、全県で実施された場合、対象校が七百五十ないし六十校になろうかと思います。その場合の経費と予算措置はどのようになるのか、お答えをいただきたいと思います。           〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕 ◎教育長(谷口弘毅君) 個人学習診断テストについてのお尋ねでございます。本年度も県教育委員会におきましては児童・生徒一人一人に焦点を当てた教科の基礎的、基本的事項の習熟の状況を明らかにして、個に応じた指導の徹底を図ることを目的に個人診断テストが実施の予定でございます。このテストは一人一人の学習の診断として実施されるものでありますので、本市でも本年度も数校モデル校として実施を予定いたしておるところでございます。この個人学習診断テストの実施に当たりましては、議員御指摘のような問題が起きないように学校とも十分話し合い協議してまいります。また議員御指摘のような事態が生じました場合には、市教委といたしましても十分なる対応を考えていきたいと存じております。  次に経費についてのお尋ねでございますが、来年度市内全小中学校で実施したといたしますと約三千五百万円ほどかかるようでございます。           〔九番 田辺正信君 登壇〕 ◆九番(田辺正信君) 今教育長の方から御答弁いただきましたけれども、先ほども申し上げましたようにこのテストは非常に問題を抱えているものでございます。  沖縄の事例をもう少し御説明いたしますと、沖縄におきましては達成度テストいわゆる個人学習診断テストのことでございますけれども、そのための進級テストが行われています。これについて教育長は御存じでしょうか。またこの進級テストは一つの単元ごとに一級から三十五級までありまして、百点満点で次の級へ進むわけです。百点が取れないと二回目、三回目。三回目で合格しないと教師がついて何とか合格させるといったことが行われているようであります。またそのテストは朝の十分か十五分、放課後、ゆとりの時間などを使いながら何とかやられているといった実態でございまして、先生も生徒もこういったことによって疲れ切ってしまっているというような状態があるようでございます。私が申し上げているのは沖縄でやられているほんの一部分でありますけれども、私としましてもこのような状況は異常としか言いようがありません。  また、熊本県内の県北のある小学校でも個人学習診断テストの二週間ぐらい前から小学校一、二年の子供に県教委の「問題集」(基礎的・基本的事項例集)からの問題を使った国語、算数の二枚のプリントを毎日のように宿題としたり、朝自習でやらせるなどのことがやられているやにお聞きしております。このようなことは、本実施にでもなれば、どこの学校でやられてもおかしくないのではないかというふうに考えるところでございます。  私はそのような立場から診断テストを、先ほどから申し上げておりますように一日も早く中止されるよう申し上げたいわけであります。このことを十分にお考えいただき、診断テストにつきまして中止されるように強く要望し、次の質問に移ることといたします。  次に、熊本市立の高等学校の教育環境等の問題についてお尋ねをいたします。           〔議長退席、副議長着席〕  市立高校は、明治四十四年四月の熊本市立実科高等女学校の開校からしますと二万二千五百七十五名、市立商業高校は、市立高校の商業科として併設されたときからしますと六千八百四十九名の卒業生を送り出しております。そして、地元熊本を初め全国各地に多くの人材を輩出し、詳しくは述べませんが、社会的、経済的な面での貢献は大なるものがあるのではないかと思うところであります。  田尻市長におかれましても両高校の教育環境につきまして御高配をいただき、市立高校においては歴史的価値のある米田家別邸の茶室の庭や採釣園の再現、近代的な宿泊施設セミナーハウスの建設落成、また県立高校に前例を見ない大食堂の建設等の施設の充実を見ております。そしてセミナーハウスや大食堂については市立商業高校にもその計画がなされているやにお伺いしております。  また、姉妹都市米国・サンアントニオ市との高校生交換留学生事業のスタートでは、熊本市立の両高校生がサンアントニオ市の高校で勉強する機会が与えられ、熊本市高校生桂林市友好訪問団の派遣とともに熊本市立の両高校の活性化に一翼を担っているとのことでございます。  田尻市長におかれましては市立高校環境整備につきまして並み並みならぬお力添えをいただき、心より敬意を表するものであります。しかしながら校地面積を見てみますと、市立高校で国の基準の四〇・六%、市立商業高校では同じく七〇・六%であります。また建築当時は県立高校にも類を見ない斬新的な校舎も、既に三十年を経過し老朽校舎となっております。このような状況についてどのようにお考えになっているかお伺いいたしたいと思います。  次に、市域外からの受け入れについてお尋ねいたします。  私は、さきに十二月定例市議会で、約一千人近くの子供たちが市域外の高校へ進学をしている状況を述べ、市教委への対策を求めてまいりましたが、今年においてもその状況はほとんど変わっていないように思われます。  そこで、市立高校への市域外からの受け入れ数を見てみますと、平成四年では玉名、菊池、鹿本など市域外からの進学は百十二名で全体の九%余りとなっています。これを出身中学別に見ますと百三十七名で一一%余りとなっております。市立商業の場合は市域外からは百八十八名で全体の二七・八%となっております。市立商業の場合は別にしましても、市としての対応に矛盾を感じるものがございます。このことについてどのようにお考えになっているのかお伺いいたします。  次に、市域外からの進学者に対する授業料についてお尋ねいたします。  福岡市では市域外については授業料について格差がつけられている高校もあるかにお聞きしていますが、このことについてどのようにお考えになっているのかお伺いいたします。  推薦枠について私見を交えお尋ねいたします。  現在の推薦枠は市立高校は被服科のみで一〇%、市立商業は一〇%となっております。各県の状況を見ますと、福岡商業一〇%、博多工業二五%、南筑一五%、久留米商業三〇%、長崎商業二〇%、鹿児島商業二〇%、鹿児島女子二〇%などとなっております。これまでの市立高校、市立商業の社会的に果たしてきた役割からいたしますと、人材確保の面から考えましても推薦枠の見直しをされてはいかがなものかと思います。  以上、市立高校、市立商業の関係についてお尋ねいたしましたが、教育長の前向きな答弁をお願いいたします。           〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕 ◎教育長(谷口弘毅君) お答えをいたしたいと思います。  熊本市立の両高等学校の校地面積等の状況につきましては議員御指摘のとおりでございます。したがいまして可能な施設につきましては拡充しまたはグレードアップに努めておるところでございますし、今後とも鋭意取り組んでまいります。  また校舎につきましては、議員御案内のとおりセミナーハウスや大食堂の建設などを進め新しい教育環境づくりを行っているところでございます。また校舎等の改修につきましても大規模改造工事の調査委託を実施いたしまして、調査結果をもとに年次計画で改善に努めているところでございます。  また市域外の高校への進学の件でございますが、本年三月卒業の熊本市域の約七百名が市域外の高校に進学したことは議員御案内のとおりでございます。市域外からの入学につきましては、現在熊本県高等学校入学者選抜要綱では、市立高等学校普通科においては定員の五%を募集し、被服科と市立商業高等学校につきましては校区がなく県下どの地域からも進学することができます。それらの枠の中で合格者を見ておるわけでございますが、市域外、他県からの転入生も受け入れておりますので、出身中学校別での統計では入学後に市域外就学率が高くなることもございます。  それから推薦入学制度でございますが、この推薦入学制度も希望する生徒にとりましては魅力あることでありますので、今後専攻科の設置あるいは学科改編、市域外居住者の授業料等も含めまして、高等学校活性化プロジェクト委員会を充実いたしまして鋭意検討してまいりたいと存じます。           〔九番 田辺正信君 登壇〕 ◆九番(田辺正信君) 時間の関係等もありましてはしょりながら進めさせていただきます。  校地面積の関係につきましては、先ほどからも述べておりますように市立高校、市立商業とも非常に狭いというような状況にございます。積極的な取り組みをお願いをいたしたいと思います。  また、市立商業の関係につきましては、専攻科の設置について要望いたしまして次に進みたいと思います。現在の高学歴に普通科志向の時代、市立商業をさらに活性化し充実を図るためには、普通教育の充実はもちろん、専門教育の充実推進を図るべきだと思うものであります。専門性を深め、またより上級の資格を取得するためには高校三年間では無理であります。したがいまして、その上に専攻科等を設置し、コース別により専門的な指導を行う必要があります。ちなみに昭和六十三年度全国商業教育研究大会で商業高校の専攻科設置について議論がなされており、いずれ近いうちに専攻科を設置する高校が出現するのではないでしょうか。そのようなことから、市立商業への専攻科の設置を強く要望するものであります。  次の質問に移らせていただきます。障害者の雇用についてお尋ねいたします。  平成三年十月二十五日の労働省発表の資料を見ますと、一般の民間企業では雇用障害者数は二十一万四千八百十四人で実雇用率は一・三二%となっています。また規模別では、六十三ないし九十九人では二万三千九百七十六人で二・〇六%、百ないし二百九十九人では五万八千六百七十四人で一・五二%、三百ないし四百九十九人では二万二百七十五人で一・二七%、五百ないし九百九十九人では二万三千四百七十三人で一・一九%、一千人以上では八万八千四百十六人で一・一六%となっております。このような中で労働省は、十八日までに、来年度から市町村レベルで障害者の自立と雇用促進を図る地域障害者雇用推進総合モデル事業に取り組む方針を固めたとの報道がなされておりました。これまで障害者雇用対策は授産施設などの福祉部門と雇用部門とで個別に講じられ、障害者の就職希望や職業リハビリ訓練などについての情報が十分共有されていなかったのが実情であります。このための措置として、地域ごとに情報ネットワークをつくり関係機関の連絡を密にし、障害者自立のための取り組み体制を確立しようとするものであります。その上で、先ほど述べましたように法定雇用率については、地方公共団体についてはその数値はクリアしているものの、民間企業では一・三二%と雇用率一・六%を大幅に下回っている事情にかんがみ、さらなる雇用促進を図ってまいろうとするものであろうかと考えます。具体的な数字は先ほど述べたとおりであります。障害者の雇用の拡大は重要な課題であり、特に国が定めている法定雇用率を最低にその拡大を図っていくことが必要であろうかと思います。  そこでお尋ねいたします。労働省発表の実雇用率一・三二%に対し本市における民間企業の雇用状況についてはどのように把握されているのか。またこれからの指導についてはどのように対処されていくのか具体的な取り組みについてお伺いいたしたいと思います。           〔中小企業局長 木村和臣君 登壇〕 ◎中小企業局長(木村和臣君) 田辺議員にお答えを申し上げます。  平成三年度の労働省の統計によりますと、全国民間企業の法定雇用率一・六%に対し実雇用率は一・三二%となっております。障害者の雇用改善はこれからだと考えられます。本県の雇用状況を見ますと、平成三年度一般民間企業で実雇用率一・五九%となっております。また熊本公共職業安定所管内では、平成元年度実雇用率一・四九%、平成二年度、平成三年度におきましては実雇用率一・五三%であります。今後従業員六十三人以上の企業に対し、障害者の雇用の促進等に関する法律の趣旨理解徹底を図るため、熊本公共職業安定所管内で組織しております熊本雇用対策協議会等の機関を通して指導に力を入れ、職業紹介の積極的な推進とあわせて雇用の安定を図るため努力をしてまいる所存でございます。           〔九番 田辺正信君 登壇〕 ◆九番(田辺正信君) 行政といたしましても障害者雇用の問題は、障害者の自立、雇用促進に向けた取り組みを進めていかなければならないわけであります。今後の積極的な取り組みをお願いいたします。  続きまして熊本市総合システムの今後の進め方についてでありますけれども、この問題につきましては十二月の質問と、我が党の大江議員が質問をいたしております。現在第二段階の取り組みが進められておることと存じますけれども、システムの確立に向けて行政一体となって取り組まれるよう強く要望するものでございます。  続きまして産院の問題について御質問いたします。  七月三十一日に、二十一世紀における九州の一大雄都に飛躍しようとする時期に当たり、これからの時代に向け産院が公的病院として果たさねばならない使命と役割を再考し、今後とも医療提供を通じいかにすれば市民の母子福祉、母子医療の向上に寄与できるかについて中長期的展望に立って検討をするため、熊本市立熊本産院改善検討委員会が設置されました。二十一世紀を展望した新熊本構想の中では人間都市と位置づけられ、人材を育てることを最大の任務とされております。このような観点から産院のあり方を新たに検討する必要に迫られているのではないでしょうか。地域に愛される産院にしていかなければならないと日ごろから田尻市長も述べられておりますように、我が党もこの改善検討委員会に対して大きな期待を持つものであります。  さて、市立産院は、昭和二十五年に児童福祉法に基づく助産施設として、経済的理由により入院助産が受けられない患者の診療を行う公的施設として社会的に大きな役割を今日まで果たしてきておりますし、その使命と役割はこれからも変わるものではないと思います。  確かに、出生率の低下、民間との競合の中で利用者が減少し、市立産院の経営状態も厳しい状況にあるようでございますが、医師三人、助産婦二十四人など三十五人のスタッフで、診療内容の高度化や出産前後の母児の健康管理に努められ、平成三年度では患者数も増加し、また医業収益で見ますと四千百十七万二百九十三円増収の二億四千百万四千七百五十円となっています。この間の努力に対して心から敬意を表するものであります。このたび市立産院としては、昭和二十五年来というべく改革に向けた改善検討委員会が野田総務局長を会長に、産院と母子医療、産院の使命と役割、産院の将来像等について検討が進められていくようであります。  そこで、改善検討委員会を進められるに当たりましてのお考えについてお聞かせいただきたいと思います。野田総務局長にお尋ねいたします。           〔総務局長 野田晃之君 登壇〕 ◎総務局長(野田晃之君) 産院についてのお尋ねでございますが、去る七月三十一日、市長より産院改善検討委員会の会長を命じられましたので、お許しをいただきまして私からお答えをさせていただきたいと存じます。  田辺議員よりただいまお話がございましたとおり、産院は昭和二十五年に設立されまして、当時は設備や診療体制の整いました近代的な施設として市民に大変好評を博していたというふうに伺っているところでございます。しかし昭和五十年代の後半から少産化時代を迎えまして、出生率が低下する中で産院の患者数も減少し、最近回復ぎみの傾向にはございますものの大きな財政支出を余儀なくされている状況もございます。また御承知のとおり施設の老朽化も進んでおりますので、その近代化も含めた産院のあり方について検討の必要性が高まってきている状況にございます。  そういう中で、今回内部的な検討を進める組織といたしまして市立産院改善検討委員会が設置されたものでございます。現在検討委員会におきましては実質的な第一回目の会合を産院で開催いたしまして、産院の現状、問題点等の洗い直しに取り組んでいる段階でございまして、具体的な検討は今からではございます。ただ産院につきましては本市唯一の授産施設でございまして、また産婦人科専門の公的病院といたしまして多くの市民の方々から期待されている施設と受けとめております。  ただいま議員からも御紹介いただきましたように、ごく最近では院長以下産院スタッフの御努力によりましてその業績も持ち直しの兆しを見せておりますが、こういう中で幸い委員会のメンバーといたしまして保健、医療、福祉、あるいは企画財政の各分野からそれぞれ専門的な知識や経験を有する委員を選定いただいておりますので、このような市民の御期待、そしてスタッフの御努力にこたえるためにも、産院がよりよき産院としてその使命を果たせますよう今後委員の英知を結集して検討を進めさせていただきたいと存じております。           〔九番 田辺正信君 登壇〕 ◆九番(田辺正信君) どうもありがとうございました。  続きまして市立図書館についてお尋ねをいたします。週休二日制の普及、生涯学習に対する市民の意識が高まる中で社会教育施設としての図書館のあり方に対して市民の期待はますます大きくなっています。そのような中で、新図書館の九六年度の建設に向けて熊本市新図書館建設委員会では基本構想、基本計画づくりが進められているようでございますが、図書館の問題について私見を交えお尋ねいたしたいと思います。  一つには、司書職採用についてであります。  社会教育の中核的な施設である図書館が均等均質なサービスを市民に提供するためには、専門スタッフの充実が強く望まれております。これまで我が党は、専門職としての司書職の採用、配置をすべきであると幾度となく取り上げてまいりました。昨年三月議会でも塩沢前議員が、本市では二十年近く図書館司書としての採用がなされていない。採用がないために一般事務員が図書館に配置されても、数年すると図書館以外に異動するため、専門職員の育成が困難となっている。したがって専門職を図書館に可能な限り配置させるために、職員採用試験において司書職の採用に踏み切るべきだと提案されていますが、当時の永井教育長は、専門的知識と技能を持った有資格者の配置ができますよう今後関係部局とも協議すると一定の前向きの答弁をされております。  そこで教育長にお伺いいたします。この間司書採用に向けていかなる努力をなされてきたのか。さらには、司書採用を来年度は実施すべきだと考えますが、どのようにお考えなのか明らかにしていただきたいと思います。  二つには、新図書館建設についてお尋ねいたします。  現在、先ほども述べましたように九六年度を開館予定に建設委員会で準備が進められているようでありますが、建物のあり方については現在の市立図書館施設の利用状況並びに図書館職員の意見を参考に、その長所、短所を十分検証して設計、計画を立てていただきたいということであります。  三つには、図書の購入についてでありますが、購入費は九〇年度以降七千万円に据え置かれているために、図書一冊当たりの単価の値上げも相まって、購入図書数が九〇年度五万百八十五冊、九一年度四万五千二百六十九冊と約五千冊の減となっております。また現在の蔵書冊数は五十万百四十三冊で、市民一人当たりの蔵書数は約〇・八冊となっており、一人一冊の目標からいたしますとまだほど遠いものがあります。今後の購入計画について明らかにしていただきたいと思います。  四つには、図書館法では建設費の国庫補助について、図書館長は司書の資格を有する者であることを条件にいたしております。このようなことからも新館長選任に当たりましては図書館について高い見識と専門知識、しかも実務経験を有する人を配置できるよう希望するものでございます。そのお考えについてお伺いいたします。  続きまして、友好姉妹都市コーナーの設置についてでございます。  桂林市、サンアントニオ市に次いで今年五月にはハイデルベルク市との友好都市締結が行われ、さらに国際交流の輪が広げられ、私といたしましても今後の交流に大きな期待を抱くものであります。これまでも各友好姉妹都市間におきましてスポーツ、経済などいろいろな分野での交流が行われてきておりますが、特にハイデルベルク市との間では近々ヴェーバー市長が来熊され熊本市との調印式に臨まれるほか、十月には本市から市民友好の翼の派遣が行われますし、今回の予算の中にも熊本市少年水泳ハイデルベルク市親善訪問団派遣が提案されております。  そこで、活発化する友好姉妹都市との交流の一助として、三市のことについて市民により多くのことを知ってもらうためにも、また文化的な交流の観点からも、それぞれの国と市の書籍を集めたコーナーを設置してはいかがでしょうか、教育長にお尋ねいたします。           〔教育長 谷口弘毅君 登壇〕 ◎教育長(谷口弘毅君) お答えをいたします。まず最初に図書館の司書の件でございます。  生涯学習の必要性が叫ばれております今日、図書館が生涯学習の拠点の一つとして市民のさまざまな学習ニーズに応じた質の高いサービスを提供しなければならないことは申し上げるまでもございません。市民の学習ニーズを的確に把握し、これに応じた必要かつ適切な図書、記録、資料などの収集に当たるとともに、きめ細かな読書指導や相談業務などに対応できる職員が必要とされるわけでございます。この意味におきまして司書という専門職としての位置づけがなされておるところでございます。現在司書は十五名でございまして一応基準は満たしておるところでございます。その増強等に当たりましては、今後の新図書館建設基本構想の具体化に合わせまして検討してまいりたいと存ずるわけでございます。  次に、新図書館の建物のあり方について、図書館職員等の意見も参考にという御質問が一点でございます。  図書館は専門的な特殊な建物でございまして、その建設に当たりましては、専門家や学識経験者、読者代表等の意見を拝聴しながら進めていかなければならないと考えておるところでございまして、そのような観点から新図書館の基本構想につきましては、熊本新図書館建設計画委員会に審議を現在お願いをいたしておるところでございます。今後この図書館の建設等に当たりましては、図書館職員の意見を初め、また利用者の声等も十分尊重しながら目指す図書館が完成できますように努めてまいりたいと存ずるわけでございます。  次に、図書の購入でございますが、図書館におきまして蔵書の新しさは、利用者がその図書館に魅力を感じるかどうかを左右する一つの重要な要素であると言われております。特に貸し出し等利用の多いものにつきましては、六年程度で全蔵書が更新されることが望ましいとも言われておるところでございます。本市におきましてはこのような目安によりまして、常に新しい図書を購入いたしまして市民の利用に供するよう努めているところでございます。しかし一方で、施設の収容能力から蔵書数に限界が出てまいっております。現在の図書館施設の収容能力に対する蔵書数は限界に近づきつつある状況でございます。そこで今後は、総合支所管内図書室の整備充実を図るとともに、現在進めております新図書館の建設に合わせながら資料収集に鋭意努めてまいりたいと存ずるわけでございます。  次に、図書館に友好姉妹都市コーナーの設置をという意見でございます。  時宜を得ました大変結構な御提言としてありがたく受けとめるわけでございます。しかしながら現在の図書館が手狭な状態となっておりまして、コーナーの設置の余裕がちょっと難しいような状況でございます。新図書館の建設に合わせましてお知恵を拝借しながらコーナー設置を考えてまいりたいと存じます。
              〔九番 田辺正信君 登壇〕 ◆九番(田辺正信君) どうもありがとうございました。  新図書館の関係について御答弁をいただいたわけでございますけれども、司書職の採用につきましては、私どもとしましても今までの取り組み等踏まえまして、一日も早い採用等の実現を願うものでございます。教育長のさらなる御努力をこの場をかりましてお願いをいたしておきたいと思います。  続きまして、これで最後になりますけれども、川尻周辺の歴史と伝統を生かした町づくりについてお尋ねをいたします。  さきの熊本市総合計画では、大慈禅寺とその周辺、川尻精霊流しなど、観光資源の再開発として事業の展開がなされてまいりました。そして今回の総合計画では、川尻地区に残る古い町並みや寺社、伝統的産業を生かし、歴史と伝統の香る町づくりとしての計画となっております。これからの事業の展開に大きな期待を持つものであります。  川尻の町づくりについては、熊本県建築士会青年部会が作成された川尻・伝統と未来、熊本地域商業近代化計画のローリング事業報告書、そしてそのまとめとも言うべき川尻まちづくりビジョンとしてその構想が述べられております。それに対し熊本市は、熊本市観光アクションプログラムの中で、行政も支援した行動計画を策定し、できるものから順次実施していくとの計画が出されております。  そこでお尋ねいたしますが、その行動計画の現段階での策定内容についてお聞かせいただきたいと思います。  次に、町づくりの一つの拠点として現在の川尻公会堂、川尻公園、蔵前船着き場跡や無田川、加勢川など豊かな水辺環境を生かした公園の整備について私見を交えお尋ねいたします。  公園の周辺一帯を公園化すれば、市民の憩いの場として史跡や文化財など市民に親まれる公園となり町づくりの拠点となるものと確信するものであります。御承知のように川尻町は、奈良、平安期から水上運輸の要地として栄えてきた歴史的にも古い町であります。先ほど申し上げました川尻公会堂、川尻公園のところに川尻御茶屋、川尻町奉行所があったわけでありますが、御茶屋は加藤家時代から川尻に置かれていたもので、奉行所は肥後藩内で熊本、八代、高橋、高瀬とともに置かれ港町として栄えたところであります。またその名残を今に残す蔵前船着き場とも考え合わせますとすばらしい公園となるのではないでしょうか。  以上関係局長にお尋ねいたします。           〔産業局長 竈 啓一郎君 登壇〕 ◎産業局長(竈啓一郎君) 川尻周辺と伝統を生かした町づくりにつきましてお答え申し上げたいと存じます。  ただいま川尻町につきましてるる先生の方から御説明がございましたので割愛させていただきますが、昭和六十二年に川尻まちづくりビジョンというものが県、市、商工会議所によりまして策定されているわけでございます。総合テーマといたしましては、「川と遊ぶ・土蔵と匠のまち川尻」というテーマであったわけでございますが、これに基づきましてこれまで平成三年度にはくまもと工芸会館が完成、あるいはすぐ近くにございます裏無田川の遊歩道の整備とか、あるいは町並み景観に合わせました店舗改築指導等を行ってきたわけでございます。また本年度からは、県道でございますメーンの道路につきまして環境整備が県の方で行われるというふうに聞いているわけでございます。  こういった川尻の町づくりビジョンといったものを踏まえまして、平成二年度に将来にわたりましての観光振興の指針といたしまして策定いたしました観光アクションプログラムがあるわけでございますが、この中で川尻地区につきましては史跡・社寺観光、それから産業観光、それから町並み観光、さらに民俗文化観光などの観光資源を持った地区といたしまして位置づけをさせていただいているわけでございます。現在までのところ、いろいろソフト面につきまして観光サイドで努力をさせていただいているわけでございますが、今後この川尻地区につきまして、新たな観光の魅力を創出する可能性のある地区といたしまして取り組んでいかなければいけないというふうに考えているわけでございます。したがいまして、今後伝統的な町づくりを行っております他都市の実例等を調査いたしますとともに、広く市民、地域の意見も取り入れ、また関係いたします庁内各局とも連携を図りながら事業の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。           〔都市局長 本田吉継君 登壇〕 ◎都市局長(本田吉継君) 田辺議員にお答えいたします。川尻公会堂に隣接いたします川尻公園についてのお尋ねでございます。  川尻公園は昭和三十八年に開設されまして、それ以来約三十年を経過いたしまして現在に至っておりますが、アクセス道路に乏しく、また施設などの老朽化も見られておりまして、十分に活用されていないのが現状でございます。したがいまして、今後御質問の趣旨を十分生かして地元住民の意向を取り入れながら検討させていただきたいと存じます。           〔企画調整局長 出田四郎君 登壇〕 ◎企画調整局長(出田四郎君) 田辺議員にお答えを申し上げます。ただいまは川尻周辺と伝統を生かした町づくりにつきまして、産業局長からは特に観光振興に視点を置きました環境整備につきまして、また都市局長からは公園の整備など、どちらかと申しますとハード面の取り組みについて答弁がございましたが、地域づくりを推進していく上では地域の人たちの町づくり活動を側面から支援していくことも大切なことではないかと思うわけでございます。  川尻地区では以前より南部地区市民の会という町づくり団体がございまして、これまでも各種のイベント活動を活発に展開されております。ことしはこの南部地区市民の会から川尻ふるさと案内人、つまり川尻地区を訪れる観光客などに地区の伝統や文化を説明する人を育成する講座の開催について支援の申し込みがございました。ふるさとのよさをPRするとともに地元の人材活用を図ろうというこの事業は、熊本市制一〇〇周年記念人づくり基金の趣旨にも十分沿っているということでございまして、百万円の支援決定がなされております。またこの南部地区市民の会に対しましては、平成四年度コミュニティー助成事業としてカヌー二十セットが贈られておりますが、早速親子カヌー教室などに活用されております。いずれにいたしましても、道路や公園といったハード面はもとより、ソフト面での支援も積極的に行っていきたいというふうに考えております。           〔九番 田辺正信君 登壇〕 ◆九番(田辺正信君) どうもありがとうございました。  川尻町の町づくりにつきましてはこれまでも多くの方々に御支援をいただいているところでございますが、特に公園の問題につきましては今後ともお力添えをいただきますよう、田尻市長を初め関係部局の皆様方に願いをいたしまして質問を終わらせていただきたいと思います。  途中、時間の配分等の関係もありはしょりまして要望に切りかえた点もございまして、執行部の方には御迷惑をおかけいたしたと思いますけれども、心から感謝申し上げたいと思います。長時間にわたり御拝聴いただきました先輩議員各位に対しまして心から御礼を申し上げます。また傍聴者の皆様には心から感謝を申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)     ────────────────── ○副議長(西田続君) 本日の日程はこれをもって終了いたしました。  次会は明十日(木曜日)定刻に開きます。     ────────────────── ○副議長(西田続君) では、本日はこれをもって散会いたします。             午後 三時四十二分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり  平成四年九月九日  出席議員 五十五名   一番 嶋田幾雄    二番 西田続     三番 馬場成志   四番 竹原孝昭    五番 牛嶋弘     六番 北口和皇   七番 下川寛     八番 佐々木俊和   九番 田辺正信   十番 大江政久   十一番 古川泰三   十二番 鷲山法雲  十三番 税所史熙   十四番 岡田健士   十五番 河村寅麿  十六番 田尻清輝   十七番 鍬農健蔵   十八番 田尻将博  十九番 東すみよ   二十番 島田俊六  二十一番 加藤静穂 二十二番 諸熊文雄  二十三番 荒木あきひろ二十四番 江藤正行 二十五番 荒木哲美  二十六番 奧田光弘  二十七番 宮原正一 二十八番 落水清弘  二十九番 鈴木昌彦   三十番 上村恵一 三十一番 磯道文徳  三十二番 西泰史   三十三番 主海偉佐雄 三十四番 伊形寛治  三十五番 中村徳生  三十六番 村上裕人 三十七番 竹本勇   三十八番 大石文夫  三十九番 西村建治  四十番 本田光夫  四十一番 家入安弘  四十三番 角田勝浩 四十四番 亀井省治  四十五番 中沢誠   四十六番 村上春生 四十七番 田尻武男  四十八番 紫垣正良  四十九番 島永慶孝  五十番 矢野昭三  五十一番 藤山増美  五十二番 白石正 五十四番 森田粹彌  五十五番 中山弘規  五十六番 西野法久 五十七番 佐々木亮  欠席議員 一名 五十三番 村山義雄 説明のため出席した者 市長      田尻靖幹   助役      御厨一熊   助役      吉田紀生 収入役     中村順行   市長公室長   岩本洋一   企画調整局長  出田四郎 総務局長    野田晃之   市民局長    野田雅水   保健衛生局長  工藤磐 環境保全局長  後藤勝介   産業局長    竈啓一郎   中小企業局長  木村和臣 都市局長    本田吉継   建設局長    木下實也   消防局長    吉原準二 交通事業管理者 谷壽夫    水道事業管理者 境三子夫   教育委員会委員長柏木明 教育長     谷口弘毅   代表監査委員  服部公雄   総務部長    柳川彰也 職務のため出席した事務局職員 事務局長    佐藤二郎   事務局次長   田尻紘    議事課長    北村政典 議事課長補佐  松本豊...